バックナンバー 社員の日記 2015年2月号

◇◇◇()新入社員の日記 2015年2月号(前編)◇◇◇ 

 

再びあけましておめでとうございます。2月の旧正月を終えようやくが年が

明けた気がしているSでございます。当地では旧暦の大晦日に日本の紅白

歌合戦に該当する春节联欢晚会、略して“春晩(チュンワン)”と呼ばれる

TV番組が放送されます。歌あり手品あり寸劇ありの盛りだくさんの内容

ですが、毎年見ているとどうしても飽きてきます。一方、期待を裏切らず

楽しい時間を提供してくれるのが『軍事・農業チャンネル』で年を跨いで

放送される“乡村=田舎”の“牛人=すごい人”を発掘するという一発芸を特集した

裏番組です。中国各地で過去一年にわたって各地の農村を回って収録された

コンテストの模様がダイジェストで紹介され“生卵の上に両足で立ち、

卵を割らずに頭頂部で皿回し”“腹に吸いつけた中華鍋の取っ手に縄を

くくりつけ軽トラックを引っ張る”など、かなり高度な雑技が披露されます。

しかし、雑技に関しては中国には想像を絶するようなレベルの達人が

層を成しているので正直なところあまり視覚的インパクトはありません。

それよりも「一体何故、それをやろうと思い立ったのか」是非お話を伺いたい、

独創的な芸にやはり目を奪われます。例えば、写真下のこちら。

 

 

f:id:jpbd:20150701122318j:plain

(写真:2月18日 軍事・農業チャンネル/台の上で延々と回転しつづける女性)

 

女性が布を広げ、小さな台の上で延々と反時計回りに回転しています。

どのくらいの時間回れるんですかという問いには『最長記録で10時間36分!』

と回答。何故そんな長時間回転しようと思ったのかという問いには

『不知道! 我从小就喜欢这样转!(わかんない!小さい頃からこうやって

回るのが好きだったの!)』と、また回答。この方のすごいところはぐるぐる

回りながら更にはさみで伝統の切り絵「剪紙」ができるところで、

番組の中でも高速回転しつつ複雑な漢字や模様を次々に切り出していました。

中国では現在、画一的な教育方針が個人の独創性を潰すと大きな問題に

なっており、留学熱は加速する一方、企業もこぞって「シリコンバレーの

人材育成」などを模倣しています。しかし、本当の創造性は果たして学業や

事業の分野でのみ発揮されるものでしょうか。番組のキャッチフレーズ

『艺在民间=芸術は民間に在り』の通り広大な中国にはあらゆる分野で

在野に埋もれている達人が星の数ほど存在します。誰も思いつかないような

突拍子もない発想の持ち主は意外と身近なところに潜んでいます。

そして達人と凡人の差はおそらく「自分の才能に気づくか否か」という

ちょっとしたきっかけだけです。食わず嫌いで避けていた事にチャレンジ

することにより、思いがけない適性が見出されるかもしれません。

ちなみに私は部屋を散らかす速度と質には絶対の自信があります。

この特技をなんとか利用し、アルティメット・お掃除にチャレンジしたい方や

5Sが味の方、あえて混沌に身を置きたい方などにサービスとして

提供できないかと不毛なことを考えつつ、今月も最新のニュースをお届けします!

 

1月某日  ハルピン出張 -25℃の地の東北料理とロシアの刺客

 

リニューアル後、“旅のメモ~全土で晒した恥の記録~”と化して来た

日記のコーナー、旧暦2015年も引き続き素朴な疑問と率直な感想、

そして有料メディアではまず出てこないであろう恥の記録をお届けして

いきたいと思います。1月の後半に会議で3日間黒竜江省ハルピンに

滞在してまいりました。ハルピンはロシア風の建築が立ち並ぶ中国東北の街で、

その緯度は中国最高(北緯43.26~53.33)。冬は気温がマイナス数十度に

達する極寒の地、冷蔵庫より窓の外に出しておく方が食料が長持ちし、

数時間置けばバナナで釘が打て、マスクをつけずに外出するとまつ毛が凍る

世界です。北方では“暖気”と呼ばれる北欧や北米で使用される熱水を鉄の

パイプに通して室内を循環させるヒーティング・システムと同じものが

普及しているので室内はとても暖かく快適ですが、一歩外に出たが最後、

室内外気温差50℃の世界に放り出されますので、出発前にスキー用パンツ、

マスク、ニット帽、スノーブーツに耳あて、手袋など思いつく限りの防寒具を

買い込み準備は万全。着膨れした上マスクでほぼ顔を覆う格好なので

今後万一銀行強盗などへの転職を迫られても即、勤務できそうです。

さて、今回は出発直前まで連日、夜中も会議のパワーポイントを作っては

直し、作っては直しと終わりの見えない作業に忙殺されていたため、

毎回の食事の時間を心から楽しみにしておりました。

中国の東北の料理は一言で表すのであれば「ワイルド」、素朴な材料を

塩辛い味で豪快に調理するのが特徴で、じゃがいもや白菜を付け合せに

豚肉と羊肉が多用されます。そのためふと気を抜くと

『肉肉肉肉芋肉でんぷん肉芋芋肉』

と格闘ゲームのコマンドの如き食べ合わせになりますが、肉料理が好物の

私には願ってもない組み合わせです。しかし厚着でごまかせるとはいえ

数ヵ月後に春を控えた現在、見境なく暴食して太るのは得策ではありません。

女性誌のキャッチフレーズ「着やせ」などに騙されてはいけません。

あれはあくまでも「気休め」の一種であり、自分を騙しながらダイエットの

モラトリアム期を設けるようなものです。ところがハルピンには思わぬ刺客が

あらゆる場所に潜んでおり、その猛攻により私の「薄着になる前に痩せる」

という名前からして失敗が見えていながら多くの人がこっそり立てたことが

あるであろうありがちな計画は無残に蹴散らされました。

刺客とは一体何だったのでしょうか。詳細は後半、ニュースレターの最後へ!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

◇◇◇()新入社員の日記 2015年2月号(後編)◇◇◇ 

 

中国は日本のように島国ではなく広大な大陸のため、陸路で行き来できる

隣国が多数存在します。中でもロシアは同じ共産圏、且つ過去中国で輸入文化が

一切否定されていた特殊な時代でも唯一付き合いのあった外国であり、近代化の

目標とされていた時代があった背景からロシアの文化が身近です。

完全に欧米志向の現代中国からは想像し難いかもしれませんが今でも年配の方は

多くが外国の音楽といえば『ロシア民謡か軍歌』、洋食は『ロシア料理』、

バイリンガルといえば「中・露二ヶ国語」という認識をお持ちです。

私自身も日常生活においてこのようなロシア文化の中国への浸透ぶりは十分

実感していたつもりでしたが、長年上海から出ない生活を続けていたため、

上海は例外的に他都市よりヨーロッパ志向という『歴史的要因』と東北地方は

場所によっては他都市へ行くよりロシアの方が近いという『地理的要因』の

影響を完全に失念していました。中でもハルピンはモスクワまで乗り入れる

列車が毎日駅に発着し、長距離トラックで大量の食材がロシアから

輸入される街です。このような情況を理解しないまま現地入りして

しまったため、街中のいたるところに潜むロシアの刺客に全く気づき

ませんでした。一体何を見つけたのでしょうか。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

“肉・芋・でんぷん”のカロリーセットで必要以上のエネルギーを蓄えつつ

日々の会議は順調に進みます。

緊張した脳の疲れをほぐすには何が最適か?

そうです。糖分です。

コーヒーブレイクにケーキやクッキーなどの甘いものが追加されていると

仕事の疲労も一気に回復できますが、中国は街によっては所謂「洋菓子」が

手に入りにくい場合があります。また、仮にあっても高額な関税により

目の飛び出るような価格で手が出ないこともしばしばです。ハルピンは現地

事情が不明だったため必要最低限のおやつを上海から持参していったのですが、

私の心配は杞憂に終わりました。街中の至るところにロシアの輸入食品専門店が

あふれていたからです。観光地の土産物屋は強気の高額設定ですが、

ごくふつうの輸入食品店は地理的な優位性から輸送コストが安いため、

すべて上海の数分の一という破格のお値段。今回ふらりと入ったお店には

ソーセージ等肉類、ハム、お菓子がずらりと並び、手作りのロシアパンや

ケーキなども販売されていました。

脳内で鳴り響くチャイコフスキー“1812年(本物の大砲が鳴ります)”。

もう買うしかない。いや、狩るしかない。

気が付くと手にしたカゴはすでに入れた覚えのないお菓子であふれかえって

いました。普段なかなか目にする機会のないロシアのお菓子ですが、

その外観から十分すぎるほど糖分が取れるであろうことは容易に想像がつき、

疲れた脳の栄養補給にはうってつけ。中でも今回感激したお菓子はこちらです。

 

f:id:jpbd:20150701123150j:plain

(写真:左上 チョコレート菓子の外観。 右上 大きさ比較。

     左下及び右下 商品の詳細。一文字も読めません)

 

食感の形容が難しいのですが、クッキーよりパンに近く、外側が

チョコレートと蜂蜜でコーティングされておりパンチの効いた甘さが

おやつや朝食にぴったりです。しかしお店の経営者はロシア人、商品名も

ロシア語のため、結局正式な商品名が何なのかはついに分かりませんでした。

とりあえずその時は一袋だけ購入しましたが数日ともたず完食。

すっかり味が気に入ってしまい、追加で買いたいと思ったものの名称が

分からないのでは調べようがありません。パッケージの裏側は驚きの9ヶ国語

表示ですが、ロシア語、カザフスタン語、キルギスタン語、アゼルバイジャン語、

グルジア語、ウクライナ語などのため一文字たりとも読めず挫折。

輸入食品は中国語の名称と成分表示のシールが張られていることが多いの

ですが、今回は何も添付がないのでお店の品物の仕入れルートや驚きの安値の

トリックなど、背景はだいたい想像が付きました。

とにかく、品物の来歴にはこだわりません。

名前の分からないあのお菓子をもっと食べたい。

食べ物関係となると異様な粘り強さを発揮する私はどうしても諦めきれず、

上海に戻ってからすぐにあらゆる商品を網羅するネット通販「タオバオ」で

数日間地道に検索を続け、ついに目当ての商品を見つけました。

中国語名は「俄罗斯蜂蜜饼(ロシア蜂蜜クッキー)」シリーズの

「巧克力味(チョコ味)」だそうです。この粘り強さをもう少し他に

活かせないものかと若干反省はしましたが、「もし私が心を入れ替え、

怠惰な部分が少しずつ勤勉さと入れ替わり、最終的に完全に勤勉且つ品行方正な

人間に生まれ変わったら、それはもはや私とは違う誰かなのではないか」

とテセウスの船のパラドックスに陥ったので、怠惰は個性と認め、その個性を

更に伸ばすため追加購入したクッキーは寝転んでだらだら食べようと思います。

中国に居ながらにしてロシアの料理も楽しめるハルピンは観光地としても

おすすめです。かの地で食べ物の誘惑を避ける方法はむやみにサイフを

持ち歩かないこと、そして空腹時に買い物に行かないことです。

これさえ守れば大きな被害はありませんので是非、

皆様も足を運んでみてください。

 

※日記の記事の内容はあくまでも筆者個人の体験であり、

 弊社の社としての見解を示すものではございません。

※記事の著作権は筆者及び筆者の所属先に属するものであり、

 無断転載は固くお断りします。

バックナンバー “上海 勝手にレストラン・バーアワード!” 2014年12月・2015年1月合併号

“上海 勝手にレストラン・バーアワード!” 2014年12月・2015年1月合併号

 

このコーナーは、独断と偏見に基づき、お店の許可も一切取らず

社員が文字通り「勝手に」ステキなお店をご紹介する場です。

六回目、“guilty pleasure”という言葉の意味を考え続けているSがお届けします。

一般的に“いけないと分かっていてもやめられない楽しみ”を指すこの言葉、

本来の意味とは少し離れて今では専ら「太ると分かっているのにやめられない

高カロリーな食べ物」に使われている感があり、私の場合はナチョ・チーズ味の

ドリトスや就寝間際のチョコレートなどが該当しますが、これでは本来のguiltyの

背徳感には程遠い、単なる食い意地の張った習慣に成り下がっている気も

いたします。どうせやるなら一度極端なくらいまでやっておいた方が

後々変に尾を引かない、という極論が持論である私はより罪の意識を刺激され、

その上で「やってやったぜ!」達成感たっぷりのカタルシスを感じる食べ物と

シチュエーションを数ヶ月前から延々と探しておりました。

そこで思い出したこのお店。例えば『寒風吹きすさぶ冬の上海、老舗カフェで

ぬくぬくと雑誌でもめくりながら超・高カロリーの激甘チョコレートケーキを

頬張る』などいかがでしょうか。窓の外に寒さに凍えて帰路を急ぐ人など

見えた日には優越感も罪の意識も最高潮(それがそのまま数時間後の自分の

姿という現実はひとまず棚上げ)。これこそ究極のguilty pleasure!

数ヶ月間をかけて考え抜いた甲斐があったというもの!

人間、図星を指されると返答に窮しますのでできれば『ヒマなんですね』

というツッコミはご遠慮いただけると嬉しいです。件のお店はこちらです。

 

Whisk

住所:淮海中路1250

電話:02154047770

 

チョコレートのデザートを主に取り扱っているお店であり、ダイレクトに

脳を直撃する甘さと空腹時でなければ食べきれない巨大なケーキが店内で

待ち構えています。“Chocolate Therapy”などの名が示すとおり日頃のいかなる

ストレスも吹っ飛ばしてくれそうな濃厚な甘さが特徴で、デザートはどれを

食べてもはずれがありません。反対に甘いものが苦手な人は一口でダウンする

であろう品揃えですが、実はこのお店にはレストランメニューもあり、

ピザやパスタ、サラダなどの軽食が揃っています。

そして特筆すべきはグラスやボトルでワインを頼める点、甘党・辛党・酒好きの

誰と行っても喜んでもらえるお勧めのお店です。難点はいまだにカードが使えず

現金決済のみであること、常に満員御礼でなかなか席がないことです。

こっそり公開する裏技は夜「食事をするから」と言って電話をすることです。

レストラン利用であれば席をおさえてもらえます。

私の次なる狙いはダイエット中の同僚を連れ込むという禁忌に挑み、

より強い背徳感と罪悪感の下guilty pleasureを楽しむことです。

繰り返しますが人間、図星を指されると返答に窮しますのでできれば

『想像通り迷惑な人ですね』というツッコミはご遠慮いただけると嬉しいです。

 

※記事の内容はあくまでも推薦者個人の見解であり、

 弊社の社としての見解を示すものではございません。

※記事の著作権は筆者及び筆者の所属先に属するものであり、

 無断転載は固くお断りします。

バックナンバー 中国最新情報番外 “東京の中国人観光客対応”検証!” 2014年12月・2015年1月合併号

中国最新情報番外 “東京の中国人観光客対応検証!” 

2014年12月・2015年1月合併号

 

12月半ばに出張が入り、2年ぶりに故郷の東京へ戻ってまいりました。

私は名字からしてよくある日本名であり、外見にも何の特長もないのですが、

全体的に挙動不審らしく、他国で現地の人にやたらと道を聞かれるかわりに、

日本でよく外国人扱いをされます。中国のクレジットカードを出そうものなら

それまで普通に会話を続けていたにも関わらず突然カタコトに切り替えられる

こともしばしばです。面白いのでそのままお店の反応を見るのが半ば趣味と

化していますが、一度

「日本語お上手ですね!」『ええ、日本人ですから』

「全然違和感ないですねぇ」『母国語ですし』

「学校もこちらで?」『当然です』

「小さい頃からやってると違うんですねぇ」

と東京で延々とかみ合わない会話をされた際は祖国で感じた疎外感に

泣きそうになりました。

昨今は対人民元の大幅な円安が続いており、かつ過去数年で上海と

東京の物価が(交通費などを除き)完全に逆転したため、

「安くておいしい外食のため」「上海よりレートがお得な輸入物を買うため」

日本が旅行の行き先として再度注目を浴びており、私の周囲でも今まで

あまり日本に興味のなかった上海の友人たちが円安に魅かれ、次々日本へ

出かけていたためさぞかし観光業もにぎわっているだろうと今回期待して

いたのですが、思いのほか人出がなく、映画から人気に火のついた北海道や

日本旅行リピーターが好む温泉などに客足が流れていることを計算に入れても

やはりいまひとつ盛り上がりに欠けていました。原因を一言で表すのであれば

「不便」、ソフト面のインフラ不足に他ならないでしょう。

今回は日本がより多くの観光客を誘致するにあたり、私が切に改善を願う点を

2点ご紹介したいと思います。

 

  • 意外と不便な新免税政策

 

満を持しすぎてそんな計画があることすら忘れかけていた日本の新たな免税

政策が2014年12月ようやく施行されました。以前から一部デパートや免税店

では消費税の免除が実施されてはいましたが、今回は消耗品が対象になった

こともあり、免税を掲げる店舗が街中でも劇的に増えていました。

遅い!今更!やっとか!

と言いたい事は山ほどあるのですが、空港でのキャッシュバックではなく

その場での免税などなかなか便利な点もあり、

まずは施行をお祝いしたいと思います。

が、実際の施行情況については今後も継続的改善が必須です。

 

【免税の範囲】

一般物品

・1人の非居住者に対して同じ店舗における1日の販売合計額が1万円を

 超えること。

・販売合計額が100万円を超える場合には、旅券等の写しを経営する事業者の

 納税地又は販売場の所在地に保存すること。

消耗品

・1人の非居住者に対して同じ店舗における1日の販売合計額が5千円を超え

 50万円までの範囲内であること。

・非居住者は、消耗品を購入した日から30 日以内に輸出する旨を誓約すること。

消費されないように指定された方法による包装がされていること。

http://www.mlit.go.jp/kankocho/tax-free/about.html

(国土交通省観光庁)

 

赤字の部分がポイントという名のツッコミどころですのでご注意ください。

消耗品の中で中国からの観光客が大量に購入するものの筆頭各は化粧品です。

ドラッグストアやデパートのコスメカウンターで大量買いする人々を

皆さんも見かけたことがあるのではないでしょうか。今回も新宿某デパートの

カウンターで美容部員さんから

『一部のブランドは売り上げの半分近くを中国のお客さんに頼っている』

と話を聞き、ぜひ引き続きたくさん購入してほしいとお店でも知恵を絞って

いるとのことでした。これらの化粧品は「代购」と呼ばれる代理購入目的が

主であり、購入層には友人知人からの頼まれ物を買いに来た旅行客のほか、

ネットでの販売で稼いでいるプロのバイヤーやアルバイトでお小遣い稼ぎを

している留学生などが含まれています。「ここからここまで、全部!」と

いうような買い方を中国語では「掃貨」と呼び、文字通り掃いたかのように

棚を空にする様子は日本語の「大人買い」などとはスケールが違います。

ここでひっかかるのは一日一店舗50万円という上限。金額だけ見ると結構な

値段ですが高級化粧品を本気でいくつも買うとなると50万円程度は

あっという間になくなります。免税品の横流しや価格破壊の防止など、

様々な角度から考慮しての上限設定であるとは思うのですが、日本から

大量に持ち出される化粧品のほとんどは中国では未発売の商品、

また中国国内で転売される価格が日本国内の定価を下回ることはまずないので、

市場への影響は考えがたく、上限を設けることの意義はあまり

ないように思われます。そして最後の「指定された包装」、これはすでに

中国国内で大ブーイングが発生しています。免税で化粧品を購入すると

その場で「開封不可」と書かれたビニール袋にパッキングされ、日本を出る

まで開封してはならず、かつ空港の免税カウンターで現物を見せるために

手荷物で持ち込めという指示がなされます。国内で免税価格の正規品が

流れては困るので開封不可は分からなくもありませんが、手荷物で持ち込め

というのは不便です。飛行機の手荷物制限がある以上、買える量も制限される

ことになり、これでは間接的に自ら消耗品の販売額を制限していることに

なります。解決策としては空港のチェックインカウンターの手前に免税品

確認カウンターを設け、現物はその場で確認、確認後の荷物は預け入れも

可とするのが一番合理的かと思います。

 

  • 日本語しかないメニュー

 

最近の中国からの観光客はほぼ皆さん無線ルーターを持っており、

リアルタイムで携帯の翻訳アプリを使っているので買い物やチェックイン、

交通などの初歩的なところで困ることはほぼなくなりました。大幅な向上の

余地が残されているのは飲食店です。

何故か。ほとんどのお店に日本語メニューしかないからです。

高級化したメニューのない本格日本料理、「おまかせコース」のみのお店

クラスになると逆に英語が通じる確立が上がるため困ることもないのですが、

日本的なものを体験したい若い旅行者が集まるお店、

即ち居酒屋やカフェなどがいまだに不便な状態にあります。

食事は買い物と並んで日本旅行のハイライトとなっており、中国からの観光客は

(中国より)安くておいしい本場の日本料理に大きな期待を抱いています。

言い換えれば食事でトラブルが続くと日本旅行全体の印象が「不便・面倒」と

マイナスになる可能性も高く、読めないメニューを渡され、何を食べようか

迷う時間を体験できないとなると旅行の楽しさも半減です。

解決策は英語併記と全メニューの写真の掲載です。

『中国の方なら漢字が読めるから大丈夫でしょ』

という甘えは許されません。食品の中でカタカナ外来語が占める割合は一般の

予想をはるかに超えています。周りの人が食べているものを指差して

「あれと同じものを!」と注文するのは言葉が通じない国での海外旅行の

醍醐味でもありますが、現物確認できる種類が少ないのがこの方法。

写真が載っていればそんなリスクも省けます。メニューの作り直し程度なら

大した出費にならず、今作っておけばそのまま東京オリンピックまで

使いまわしができますので是非ご対応いただきたいです。

また、より視覚を直撃するメニューとして日本ならではの「食べ物の模型」は

中国人のみならず外国人に大人気です。

こちらは日本旅行が流行し始めた頃の記録ですが、驚きの様子が伝わってきます。

 

問:日本のレストランって(食べ物の)模型があるの?

答1:あるよ。これ、私が撮った写真(写真を掲載)。

答2:(略)遠くから見るとほんとにそっくり。

答3:(略)米も一粒一粒、マーボー豆腐のひき肉や刻んだネギまで見える。

   ディテールは本当に本格的。

http://zhidao.baidu.com/link?url=P-vkkOYuMOjoGKDH3Ue7etTUxQco9uD-Y3xTc3uycM2TPbAQvdIafwPxNKS1QCL-iHgb007KENArFy8ETBNxS_

(2009年3月2日 百度知道)

 

「お土産に買って帰りたい」「空港でお寿司のキーホルダーを買い占めた」

「レストランの模型の写真ばっかり撮って来た」などずいぶん前から話題に

なっていますので、観光客誘致のツールとして活用するのもおすすめです。

 

今回はひとまず今すぐ改革に手をつけられそうな点を2点、あげてみました。

何故敢えて難易度の低いものしか挙げていないかというと、ここで改革に

手間取っていると観光客はどんどん他国へ流れてしまうからです。

現時点でも多少の進捗はあったもののビザの規制緩和が遅れを取っている

うちに日本旅行のピークは一度過ぎてしまっています。

安易なビザの緩和は確かにリスクを伴いますが、日本への留学経験がある人、

昔住んでいた人、すでに一度旅行で訪れている人すらも現在は申請が

非常に面倒であり、中国とノービザ(あるいは入国時現地で取得)で行き来

できる東南アジアに客足を取られています。オリンピックを目指し更なる

誘致を目指すのであれば早急な対策が必要です。

また、観光客はみなさん日本のサービスに多大な期待を寄せています。

日本にあまりいい印象を抱いていなかったものの、一度訪問してその

サービスに感激し親日家になった人も中国には多く、どれだけいい思い出を

作ってもらえるかが真の国際交流のカギでもあります。

今回の帰国では次々に押し寄せる客波にうんざりしているのか、

投げやりな態度で接客をしているお店や空港職員の方をずいぶんと見かけ、

大変残念に思いました。“百聞は一見に如かず”の“一見”がすばらしい思い出と

なり、観光客がリピーターとしてまた足を運んでくれるよう、いつも以上に

サービスを気を配る事こそささやかながら効果絶大な日本のアピールに

なるのではないでしょうか。

 

※特集記事の内容はあくまでも筆者個人の私見であり、

 弊社の社としての見解を示すものではございません。

※記事の著作権は筆者及び筆者の所属先に属するものであり、

 無断転載は固くお断りします。

バックナンバー 社員の日記 2014年12月・2015年1月合併号

◇◇◇ ()新入社員の日記 2014年12月・2015年1月合併号(前編)◇◇◇ 

 

新年快楽!旧暦進行のため1月を過ぎても年が明けた気がしないSでございます。

旧暦は年明けが1~1.5ヶ月ほどズレますので元旦を迎え、毎年前年に

達成できなかった“20××年の目標”を思い出してもしばらく悪あがきする

猶予があるのですが今回は2014年の目標が何だったのか、そもそも目標を

立てたのかどうかすら思い出せず脳の老化をつくづく実感しました。

思い出せない事項が重要事項ではないことを願います。

さて、上海では毎年11月の終わりごろから街中のあちこちでクリスマス

ソングが流れます。中でも2000年台初頭、米国の女性歌手・ビヨンセが

リードボーカルであった時代のDestiny’s Childの「8 days of Christmas」は

現在でも非常にポピュラーな選曲です。この曲は毎日一つずつ彼氏から

もらったプレゼントを自慢していく歌で「クリスマス8日目、ダイヤモンドの

指輪をもらった!」とのっけからいきなり高額商品が登場。

ここからプレゼントの羅列が始まり、間には「二人だけのディナー」

「私のために書いた詩」など心温まるプレゼントも挟まれるものの、

「クリスマス2日目、CLKメルセデスのキーをもらった!」ですべて台無し。

そして「Doesn’t it feel like Christmas? (クリスマスって感じがしない?)」

のフレーズが繰り返し歌われます。日本では『しないしない・・・』と内心

激しくツッコミを入れていたのですが、曲を聞くたびに感じていた違和感を

現在の上海ではほぼ感じないことに改めて気付きました。

中国のバブルを経験した今となっては高級車やダイヤのプレゼントに

目新しさは一切なく、いっそ「365 days of Christmas」とタイトルを変えた

ほうが現状に沿っていると思います。

誤解なきように付け加えますと、車や不動産は富裕層に限定される例であり、

上海の大多数の女性は自分の仕事を持ち、常識的な金銭感覚を有し、

堅実な生活を送っています。但し、たとえ安価な花や数百円程度の

ファーストフード、無料の手作り品であろうと贈り物をするのは必ず

常に男性であり、彼女のかばんを持ってあげる、病気のときはご飯を作って

届けてあげるなど自身のベスト・パフォーマンスを尽くすことが生涯に

渡って求められます。今年は長年の違和感が霧消したと同時に感覚が

完全に上海化されていることに気付き、そして気付いたからといって

自分が上海の女性と同じように振舞える環境にはないことに更に気付く

という内心複雑なクリスマスを過ごしました。ちなみに以前ご紹介の

上海人の夫と過ごした拙宅のクリスマスのメニューは前日のデリバリーの

残り物、プレゼントのプの字も出ませんでした。

パフォーマンスは評価“Unacceptable”で心の閻魔帳に記録しておきます。

今年こそはと人生一発逆転の夢を抱きつつ今月も最新のニュースをお届けします!

 

■某月某日  天津出張 名物“狗不理”肉まん

 

しばらく前の話になりますが、昨年出張で天津を訪問する機会がありました。

川エビのから揚げや“炸酱面”に感動した経緯は先日のニュースレターの

レストランアワードにご紹介の通りですが、実は天津にはさらに有名な

名物があり、それが“狗不理包子(ゴウブリーバオズ)”と呼ばれる肉まんです。

狗は文字通り日本語の犬、理には中国語で「相手にする、かまう」の

意味がありますので不が付くことで「相手にしない、無視する」に転じます。

従って狗不理包子は『犬が相手にしない肉まん』となりますが、

この不思議な名称には故事があります。

清の時代に高貴友という男性がおり、子犬のようにすくすくと育つよう

「狗子」というニックネームをつけられて育ちましたが、

彼が天津の路上で売り始めた肉まんがクチコミで大評判になり、

あまりにも忙しくて客が呼んでも「相手にしない」ことから「狗子不理」、

転じて「狗不理」となったそうです。

より詳しい故事の詳細は下記リンクをご参照下さい。

 

http://baike.baidu.com/link?url=-M9l0bGEalvPehHtf-0mt6h_zXpaP71Mr8EOCuGlfLKrfjemyGuy3g0UgFply7gqT1hrIQaYUs1FxYYPt0_DpDOjEc0a_7fN8O_TaEvmYR7

(百度知道)

 

袁世凱が西太后に献上した!江沢民氏も胡錦涛氏も食べた!という

『御用達』肉まん、中国国内でも大変有名なのですが、出発前に私が

周囲の友人知人にリサーチしたところ、誰に聞いても答えは「普通の肉まん」。

まずくはないけれど感動するほどおいしくもないと満場一致、その上

「あまりにも普通の肉まんすぎて犬ですら食べないから狗不理とも呼ばれる」

とウラの笑い話まで聞いてしまい、わざわざ食べに行くのは面倒な気持ちと、

そこまで言うならどれだけ普通かいっそ食べてみたい気持ちの間で

板ばさみになりました。どの国に限らずおそらく情況は似たり寄ったり

だと思いますが、中国でも「元祖××!」という大型店舗の名物料理より、

小さなお店の普通の料理の方がおいしいことが多いです。今回は会議中心の

日程で時間がなく、こんな悩みも頭からすっかり抜け落ちていましたが、

そんな私を突然肉まんの世界に引き戻した出来事がありました。

詳細は写真をご覧下さい。

 

f:id:jpbd:20150701110452j:plain

(写真:私を完全に空気扱いしてくれた天津のかわいい小型犬たち)

 

天津は寒い気候のせいか猫が少なく、そのかわりに街中では小型犬を多数

見かけましたがどの犬も申し合わせたように私の事を完全に無視します。

上海では散歩中に声をかけると飼い主の同意の下、犬の方も快くなでさせて

くれたりするのですが、天津の犬は口笛を吹こうが名前を呼ぼうが完全に無視。

写真下の犬に至ってはわざわざ私が移動するたびに反対の方向に顔を背ける

という徹底した非協力的姿勢を見せてくれました。

これが本当の『狗不理』。

さて、唐突に狗不理肉まんのことを思い出したものの、時間がないまま

最終日になってしまったのですが、上海に戻るフライトが遅れ天津の真新しい

ぴかぴかの空港ターミナルでみやげ物屋を冷やかしていた私の視界に突如

『狗不理』本店の看板が飛び込んできました。

買うべきか、買わざるべきか。

脳が悩んでいる間にもすでに手は財布を握り締めており、お店の女性と

目が合った瞬間、自分の負けを悟りました。

私の散財記録の詳細は後半、ニュースレターの最後へ!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

◇◇◇連載 ()新入社員の日記 2014年12月・2015年1月合併号(後編)◇◇◇

 

“しない後悔よりする後悔”をモットーに過ごしてきた時間も数十年目に

なりますと一つ一つは安価ながら無駄に散財した金額がトータルで計算すると

軽視できない数字になっており、時折ハンカチを噛んで叫び出したい衝動に

駆られます。唯一の救いは小心者且つ資金不足のため大額の損害は皆無な

ことです。先日も雪遊びをする為「雪合戦の雪玉を作る型」をネットで

検索しており、シンプルなタイプが約5元、色々組み合わせたセットが約100元、

『こういうのは迷わず一番高いのを買えばいいんです』

『ここぞという時に中途半端な値段のものを買うから中途半端な思い出しか

 残らないんです』

とカートに入れようとしたところ、同僚の日本人がゴミを見るような視線を

向けてきたので、何とか思いとどまりました。

その後、AK47を模した大型水鉄砲を買うか悩んだときも似たような反応を

返されました。彼にはそのうち個人的に報復するとして、考えを改める

つもりはあまりなく、今後も「家に着くなり存在を忘れられ、次の大掃除まで

日の目を見ることがなくなる事確実」な微妙なみやげものをみかけた場合、

私はやっぱり買ってしまうのだろうと思います。

そんな私を空港で待ち構えていた狗不理直営店。

一体何を購入したのでしょうか。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

ふらふらと吸い寄せられ店に一歩足を踏み入れ、まず驚いたのはその

パッケージです。肉まんといえば中国では朝食をはじめとする軽食の代表、

安価でお腹もふくれる庶民の味方にふさわしい素朴なパッケージをイメージして

おりましたが、実物は缶にも箱にも西太后の写真がフィーチャーされており、

うかつにキッチンに放置できない威圧感。とっくに中身を食べ終わった2015年

2月現在、いまだに缶を捨てることができません。

 

f:id:jpbd:20150701110745j:plain

(写真:左上 直営店の様子。 右上 狗不理肉まん、缶には西太后の写真が。

     左下 一口サイズの肉まん。 右下 狗不理トランプ。詳細は後述)

親切な店員によると饅頭の中身も肉のほかいくつか種類があり、

今回は基本の肉餡の他お土産用に他の種類も購入。上海に戻った後自宅で

食べてみましたが味は評判どおり可もなく不可もなく普通の肉まん、

明らかに割高なのがブランド料と壮麗なパッケージのせいである点は以前の

ニュースレターでご紹介した今はなき贈呈用豪華月餅と同様です。

ここまでは購入時点で予想の範囲内ですが問題はレジ横においてあった

ロゴ入りの小箱です。肉まんのスキマに隠れるように配置されていたその

黄色い小箱はタバコの箱にそっくりなサイズ。しかしライセンスのない

店舗でのタバコの販売は違法です。気になって聞いてみると答えは

「是这个吗? 这是扑克牌」(これ?トランプですよ)

何故トランプが肉まんと結びつくのか分からずレジでフリーズする私。

反応がないことを悟った店員が出してくれた中身を見ると、確かに肉まんが

中央に印刷されたジョーカーがちらりと見えました。てっきり一定金額以上

購入の顧客向けのノベルティか何かかと思いきや、聞けば売り物だとのこと。

『多少钱啊?(いくら?)』「5块钱1盒(1箱5元です)」

『好,我要了(よし、買った)』「你买这个?(買うんですか?)」

『买两盒(2箱買う)』「啊!?(ええ!?)」

1箱でいいんじゃないかという店員を押し切って迷わず2箱購入。

そんな物好きは滅多にいないようで相手は始終目を白黒させていました。

物好き第1号の座を独占できて光栄です。飛行機に乗り、上海の自宅へ

戻るなりスーツケースを放り出しトランプの中身を確かめてみましたが、

5元にしては手の込んだ造りで全てのカードに異なった肉まんやお店の歴史を

現す写真が印刷されており、にわかに狗不理に関する知識が増えました。

が、案の定数を数えてみるとカードが一枚足りず、念を入れて2箱買って

おいて本当に良かったです。「備えあれば憂いなし」としたり顔で自慢したい

ところですが、前述の日本人の同僚からまた遠まわしに蔑まれそうなので

ささやかな自慢は心のうちにしまっておきました。

ところでこのトランプ、その後自宅のどこにしまったのか一向に思い出せず、

脳の老化をつくづく実感しました。

冒頭と同じ結論で今月の日記の結びとさせていただきます。

 

※日記の記事の内容はあくまでも筆者個人の体験であり、

 弊社の社としての見解を示すものではございません。

※記事の著作権は筆者及び筆者の所属先に属するものであり、

 無断転載は固くお断りします。

バックナンバー “上海 勝手にレストラン・アワード!” 2014年11月号

“上海 勝手にレストラン・バー・アワード!” 2014年11月号

 

このコーナーは、独断と偏見に基づき、お店の許可も一切取らず

社員が文字通り「勝手に」ステキなお店をご紹介する場です。

五回目もついに増えた体重が戻らず冬服がきついSが担当させて

いただきます。 会社の上司などは「服が縮んだんじゃないの。そういうことに

しておけば」といいますが目先の優しさに甘えて着られる服が無くなった日には

目も当てられないので、一応今後は気をつけようと思います。

ただし、あくまでも、できる範囲で。

さて、今回は日記の内容にちなんで上海の四川料理のお店をご紹介します。

上海の四川料理は甘党の地元の人の好みを反映し、本場四川の人に言わせると

「全く辛くない」と言われるほどマイルドにアレンジされていますが、

それでも日本人が一般的に思い浮かべる辛さや日本の中華料理よりはよほど

辛口です。私はカレーでも中辛が限界なほど唐辛子が苦手なため、

四川料理を食べに行くといつも水ばかり飲んでしまいすぐにお腹が膨れて

しまうのですが、こちらのお店は外国人の友人や私同様に辛さが苦手な

上海人の友人を連れて行っても安心、レストランのランキングなどでも

各種アワードを受賞している有名店です。

 

品川(ピンチュアン)

住所:桃江路47号(×乌鲁木齐路)  ※他、市内に数軒支店あり

電話:4008207706

 

川菜(四川料理)を品(評価する・味わう)して食すと書いて「品川」です。

うっかり『しながわ』と読んでしまうと上海現地の日本人同士でも時々

通じないのでご注意下さい。本店は旧租界の瀟洒な中国風の一軒屋、

その他にも市内にいくつか支店があり友人との集まりや接待などにも

とても便利です。

 

f:id:jpbd:20150630191100j:plain

(写真:右上より 1、おなじみ麻婆豆腐  2、四川名物・酸菜魚 

 3、エビの入ったおいしい餃子 4、食器や内装もおしゃれです) 

 

メニューの料理名にはそれぞれ辛さの度合いが唐辛子のマークで記載してあり、

ゼロから唐辛子3つまでのレンジで各種料理が揃っています。

私は唐辛子2つまでが限界、何事もムリをしないことが胃腸を健康に保つ秘訣です。

龍眼と冬瓜の入った甘いお茶など、辛さを抑える飲み物も充実しており、

写真でご紹介の(四川料理ではありませんが)焼き餃子など辛くない料理も

多数種類があり、選択肢が豊富なのも嬉しいところです。ちなみにこの

エビたっぷりのおいしい餃子のハイライトはそのパリパリのおこげの部分で

「ベビースターラーメン」そっくりの懐かしい味です。

四川人の友人を連れて行くと「これはこれでおいしいけど、四川料理とは違う。

“改良版”だね」と、ほぼ確実に難しい顔をしますが、日本人の舌にも優しい

四川料理は数少なく、辛いものは苦手だけどたまにはスパイスの効いた

料理が食べたいという方、寒くなるこの季節に是非お試し下さい。

 

※記事の内容はあくまでも推薦者個人の見解であり、

 弊社の社としての見解を示すものではございません。

※著作権は筆者及び筆者の所属先に属するものであり、

 無断転載は固くお断りします。

バックナンバー 中国最新情報 “上海普通住宅新標準施行!” 2014年11月号

中国最新情報 “上海普通住宅新標準施行!” 2014年11月号

 

11月20日より、上海市では新しい“普通住宅標準”が施行され大きなニュースに

なりました。普通住宅標準とはその名称の通り「何を以って“普通住宅”とするか」

の“価格基準”であり、その金額内に納まる不動産(主にマンション)は

“普通住宅”として契約税の一部が免除されます。

上海は3本の環状線に囲まれており、内側から順番に

“内環(市の中心部)”

“中環(中心からやや外れるが短時間で行き来できる範囲)”

“外環(市の中心から遠いベッドタウン)”

に分かれ、不動産の価格も内環を頂点に外側に向かうにつれ下がる傾向があります。

但し、上海は街自体が小さく内環は既に再開発の余地もほぼ限界、

住宅や商業施設が密集しているため、不動産価格は高騰する一方であり、

外来労働力の増加につれ限りある面積の都市に許容量を超える人口が密集した

結果、不動産市場のバブルは収束に向かいつつあるとはいえ価格は一向に

下がらず、内環及び外環も不動産価格は高止まり或いは緩やかに

上昇し続けています。今回の新規定では内環の標準住宅の基準が

「450万元(≒約8,600万円)」、人民元が高騰している11月末時点の

レート換算とはいえ、日本円で8,000万円以上もする高額な不動産が

『一般』、即ち『それ以上でなければ豪宅(豪邸)とは呼ばない』と

発表されたことで中国全土でも大きな波紋を呼びました。

上海の片隅で私もニュース記事を片手に本気で“人生の意義”を真剣に

自問自答する程度には衝撃を受けました。

今回はこの新たな標準にまつわる現地の反応をご紹介したいと思います。

 

  • 新標準の内容

 

新しい標準の正式名称は《本市普通住宅標準の調整に関する通知》

(关于调整本市普通住房标准的通知)、略して“通知”と呼ばれていますが、

調整が実施されたのは今回が初めてではなく、2012年2月にも不動産価格の

高騰を受け、上限を引き上げる同様の通知が発行されています。

2014年11月発表のそれぞれの標準は下記の通りです。

 

現行標準と新標準の比較

類別

エリア

2012
上限額

2014
新上限額

普通住宅

内環

330万元

450万元≒8,600万円

中環

200万元

310万元≒6,000万円

外環外

160万元

230万元≒4,400万円

※日本円は2014年11月時点のレートで換算

 

住宅標準は2005年から新たに施行された法律であり、過去に二回の調整が

実施されているため、今年の調整で累計3度目となります。

中心部に全ての機能が密集した面積の狭い都市とはいえ、外環の外ともなれば

車でも片道約1時間かかるエリアまでが対象になり、このあたりまで来ると

周囲は蟹や魚の養殖池や畑が目立つ田舎です。また、中国のマンションは

特に記載がない限り新築の物件はすべて「毛胚(マオペイ)」と呼ばれる

コンクリートが打ちっぱなしの内装がなされていない状態で販売されます。

壁紙や照明、フローリングなどを含む内装から家具などを追加で追加の

数百~数千万円の出費を見込まなくてはなりません。

住宅の面積そのものは日本より大分大きく、90㎡~120㎡程度のマンションが

一番のボリュームゾーンとなりますが、これはあくまでも「築面積」であり、

壁の厚さ等を抜いた実際の「使用面積」は平均してその60~70%となり、

お得感は大幅に減ります。日本マンションの価格と比較すると上海の

不動産の高騰がいかに著しいかイメージいただけるのではないでしょうか。

ところで住宅標準を設ける目的は消費者の税金を優遇し、不動産市場の

活性化を図るためです。購入した不動産が『普通住宅』と認められた場合、

上海市の規定の『契約税』の税率が下がります。

 

現行の上海市不動産契約税率

類別

建築面積

その家庭唯一の
不動産か否か

契約税率

普通住宅

90㎡以下

唯一

1%

90㎡以上

唯一

1.5%

面積問わず

唯一ではない

3%

 

http://www.jiading.com.cn/article-15206-1.html

(2014年5月17日 嘉定都市網)

※表は記事中より抜粋しSGSにて作成

 

普通住宅の条件は

1、5階建て以上の高層マンション及び5階建て以下の旧式集合住宅など

(一戸建てのヴィラなどは当然対象外となります)

2、単独建築面積が140㎡以下

(あまりに広い部屋は普通住宅とはみなされません)

3、前述の表の各エリアの上限価格以内であること

(高額物件は“普通”の範囲外です)

の3つの条件を満たしていることが前提となり、またその家庭の唯一の

不動産であるか否かが審査の対象となります。二戸目からは投資対象と

みなされ優遇はありません。通常の契約税が3%、条件を満たした普通住宅の

契約税が1.5%のため、申請が認可されれば1.5%の節約になる計算です。

割合だけ見ると一見大して変わらないのですが何しろ不動産そのものが

高いので内環の上限450万元で計算すると67,500元、日本円にして約130万円

もの節約になります。昨今は中央銀行の発表により久しぶりに銀行基準金利も

引き下げされ、住宅ローン金利を下げた銀行が多いことから誰もが

不動産市場の活性化を予測していました。

ところが実際にフタを開けてみると期待していた大幅な伸びはなく、

値動きも契約数もほぼ変わらないという意外な結果に。

一体なぜなのでしょうか。

 

  • 効果のほどは?

 

130万円の節約。日本の感覚では「車が一台買える!」と大喜びの金額ですが、

上海は不動産だけでなく物価そのものが高騰していることを考慮する

必要があります。130万円では自動車のナンバープレートしか買えません

(11月現在約7万元台~)。家具もマンション一戸分をそろえるには心もとない

金額、おしゃれな家具は買えません。従って「数千万円の買い物を促すに足る

優遇ではない」というのが私の率直な感想です。

しかし不動産市場が活性化しなかった最大の理由は実は他にあります。

 

記者が松江(上海西部の郊外)の不動産仲介業者で確認したところ、

ローン政策と住宅標準の調整で来客数は増えたものの、不動産のオーナーにも

自信を与えたため、値段交渉の際も大幅な値引きには応じず、交渉の余地は

非常に少ない。230万元の普通住宅であっても値引き額は3~5万元程度であり、

200万元以内の物件になるとその金額は更に小額になる。

http://news.163.com/14/1120/10/ABG506NA00014SEH.html

(2014年11月20日 網易ネット)

 

上述部分で紹介されているのは郊外二手房(=中古物件)の情況ですが、

市の中心部はオーナーやディベロッパーとの価格交渉よりもっと根本的な

問題に直面しています。

 

鎮寧路(上海市静安区と長寧区を跨ぐ中心地区)の不動産仲介業者の社員に

よると、この地区では普通住宅標準の改正による影響はほぼない。鎮寧路には

旧式の小型物件が比較的多いとは言うものの、内環エリアでは二部屋以上の

ごく普通のマンションでも最低500万元前後は必要であり、450万元の標準を

満たすような物件はほぼない。

(上述の記事より翻訳)

 

記事になった内容は事実であり、上海の中心部のマンションは新築に

限って言えば日本円で1億円前後が最低ライン、標準内に収まるような

物件はよほど古い中古物件か一人用のワンルームマンションなどを探す

しかありません。また、そもそも市の中心に居を構えるような消費者は

経済的に恵まれており不動産も複数所有しているケースがほとんどのため

税金の優遇対象にはならず、またこのような富裕層になるとたかが1.5%の

優遇を気にすることはまずないため促進剤としての効果はほぼゼロと

言ってよいでしょう。

さて、現状を調べれば調べるほど冒頭の「私は何のために生きているのか」と

部屋の隅で地面に「の」の字を書きたくなるような経済事情が明らかになる

上海ですが、最後にもう一度、地に足を付けて冷静に考えて見ましょう。

上海の不動産は本当にその価格に値するのでしょうか?

 

  • それだけの価値はあるのか?

 

今月、竣工後間もない15階建てマンションがビルごと傾き、隣の棟に

寄りかかる状態になった写真が報道され、上海で非常に大きなニュースに

なりました。また、そのマンションの所在地が先日の特集でも取り上げた

ディズニーランド建設に伴い不動産が高騰し始めた「川沙」地区であった

ことから、連日その様子がテレビやネットで取り上げられています。

写真は下記、リンク先の記事でご覧いただけます。

 

ディベロッパーの責任者は記者に対し、現時点で建築に問題が存在する

とは言えず、ビルが傾いたのは自然沈下の結果であると回答。また、

川沙鎮の(政府)関連部門の責任者も今のところ、居住者の移転は考えて

いないとコメントし、同済大学の専門家に測量を依頼すると発表した。

http://sh.eastday.com/m/20141125/u1a8459628.html

(11月25日 東方ネット)

 

上海は長江デルタの水を大量に含んだ砂や泥が地盤になっています。

これは例えるとやわらかい豆腐の上に高層ビルを建てるようなもので、

綿密な調査と高度な技術を組み合わせて初めて堅牢な建築物が出来ます。

こちらの高層ビルはその建築のスピードで非常に有名であり、大量の

マンパワーを投入し、工期短縮のため8時間×3交代制で24時間施行を続ける

ことがほとんどですが、完成を急ぐあまり品質が下がったり、外注に外注を

重ね無数の下請け会社が層を成した結果、利益を上げるために安い材料を

使ったりといった問題が次第に表面化してきました。

上海では結婚にはマイホームの購入が必須という習慣が根強いこともあり、

不動産に対する考え方が日本のそれとは根本的に異なります。

「いつかは夢の一戸建て」「人生の目標」という考えはほぼ見られず、

不動産はあくまで投資の対象であり良い物件があればすぐさま乗り換えます。

まずは頭金をかき集めてローンを組み一戸目購入、転売でキャピタルゲインを

稼ぎより大きな物件への乗り換えを繰り返して資本を増やし、所有物件の

数も増やして老後はインカムゲインでリタイア生活、というアグレッシブな

スタイルが大多数の人が実施している投資の形です。

強制立ち退きで配布された家だから、貸してしまうから、数年以内に

転売するから、とさほどの思い入れはないとは言え、数千万円から

一億円以上の物件で安全面にこれだけ大きな問題が発生すると

そのマンションだけでなく、不動産業界全体や周辺地区の発展計画への

影響は計り知れず、政府や関係者が必死に「問題なし」とのコメントを

繰り返す理由もここにあります。

私自身も不動産ローンを抱えていますが、物件の引渡し時にはそれこそ

舐めるようにマンションを審査しましたが散々チェックを入れた新築物件

だったにも関わらず、数年経った現在も水回りを中心にこまごました問題が

後から後から出てきました。『砂上の楼閣ならぬ豆腐上の楼閣』という

一点を十分に考慮し物件の安全面、ロケーションや周辺のリサーチも必須の

買い物となると多少の政策の緩和が即座に市場に反映されることはないでしょう。

但しその反面、外来人口は引き続き増加傾向にあり、住宅の需要は依然として

高いまま、急激な値崩れも価格の頭打ちのいずれも考えがたく、不動産は

今後も引き続き堅実な投資の選択肢の地位を確保することになりそうです。

 

※特集記事の内容はあくまでも筆者個人の私見であり、

 弊社の社としての見解を示すものではございません。

※著作権は筆者及び筆者の所属先に属するものであり、

 無断転載は固くお断りします。

バックナンバー 社員の日記 2014年11月号

◇◇◇()新入社員の日記 2014年11月号(前編)◇◇◇ 

 

健康診断の結果におびえているSでございます。思いがけぬところで

再検査の通知を受け取り、通院している間にレターの発行が遅れ

申し訳ございませんでした。中国の大学病院にはシーメンスの最新の

CTスキャナが備えてありハード面は申し分ありませんが、点滴の針を

ワイルドにずぶりと刺された箇所が現在痣になっており、ソフト面の不安と

患者が多すぎる中国医療の問題を身を以って再認識しました。 

11月は北京で開催されたAPECの報道を追いかけておりましたが、

会談の内容よりも中国ではファースト・レディである習主席夫人・彭氏に

焦点が当てられておりました。元々ソプラノ歌手として有名であった

彭氏は国内の人気も高く、手にしたバッグ、スナップされた洋服や

携帯電話が翌日から検索数、販売数ともにうなぎのぼりになる国家の

広告塔であり、中国政府もこの効果を最大限に活用するため彼女が

身に着けるものをすべて国産ブランドで統一するなど常に広告戦略に

余念がありません。

ところで、今回彭氏ともに話題を攫ったのはロシアのプーチン首相です。

まずはAPEC、習主席の隣にいた彭氏の肩に自分のストールをかけてあげた

プーチン氏の行動が中国のみならず世界各国でも様々な憶測を呼びました。

http://edition.cnn.com/2014/11/11/world/asia/putin-liyuan-shawl-apec/

(2014年11月11日 米CNN)

 

“中国のファーストレディの魅力に屈したプーチン!”

“今後の中露関係を意識か?” 

など、書かれ放題です。真意はプーチン氏ご本人しか知りえませんが、

暖冬とはいえ中国の北方の気候を考慮し、個人的には単に寒そうに

見えたんだろうと思っております。

続いてG20、各国首脳がコアラを抱いて記念撮影する様子が世界中の

メディアで取り上げられた際、プーチン氏の写真も公開されました。

http://www.dailymail.co.uk/news/article-2836006/Kissing-koalas-charm-G20-leaders-Putin-cracks-rare-smile-threatening-storm-tense-talks-Ukraine.html

(2014年11月15日 英Daily Mail)

 

“自由の世界のリーダー・大統領オバマも鉄の首相・メルケルもこの

恐ろしく写真うつりのいい動物の前には無力!”

という見出しの下、プーチン氏のそれぞれの写真には

『もうそんなに怖くない:コアラを抱いてにやりと微笑むプーチン首相』

『逃げ出せ:コアラはプーチンの鉄の腕からどうしても逃げ出したいらしい』

と、秀逸なコメントがついております。

コアラ稼業もなかなかに危険に満ちているようです。

ここ数週間の検索履歴が「Koala Putin」ばかりだった私は視野の狭さを

反省しつつ、今月も最新のニュースをお届けします!

 

10月某日  重慶出張 名物激辛鍋と黒車(白タク=非正規営業タクシー)

 

10月末、四川省重慶へ出張する機会があり、始めて本場の四川料理を

体験しました。日本では麻婆豆腐などで知られる四川料理はその飛びぬけた

辛さで有名ですが、同じ麻婆豆腐でも本場のそれは全身から汗が噴出し

痛覚が刺激される辛さです。重慶の名物は「麻辣火鍋」というその名の

通りの激辛鍋、数年前に日本業務部の社員が挑んだ結果、翌日ホテルに

こもりきりになりかけたといういわく付きの鍋であり辛いものが苦手な

私は出発前から決死の覚悟で臨む気でおりましたが、今回は事情を察した

重慶人の同僚が伝統の味をマイルドにアレンジしたチェーン店へ

連れて行ってくれました。その写真がこちらでございます。

 

f:id:jpbd:20150630185504j:plain

(写真:豪華な一人用鍋。右手前は重慶の地ビール“山城ビール”です)

 

真っ赤な方が牛脂に唐辛子を溶かし込んだ重慶名物の激辛スープ、

随分マイルドにアレンジされているものの、口の周りに付いただけで

ひりひりと痛む辛さ、目の周りや鼻の粘膜に塗ったら十分に拷問として

機能しそうです。『塗りたい相手リスト』を脳内の閻魔帳から

ピックアップしてほくそ笑みつつも私は大事を取って白い方の辛くない

スープを中心に食事をすすめましたが、同行の日本人の同僚は辛いものに

目がなく、大量に平らげたところ翌日の朝食の席で「やっぱりお腹に

来ました」とダウン。にも関わらず彼は朝食のお粥に唐辛子を追加。

辛さは味覚ではなく痛覚であり、人間の体は痛みを感じるとその苦痛を

和らげるために脳内麻薬を分泌するそうですが、もしそうであれば

目の前の彼はランナーズ・ハイならぬスパイス・ハイに陥っており、

冷静な判断を失っているはずです。

私はそんな精神状態の同僚と別れ次の出張先へ移動してしまって

よいのでしょうか?・・・と、一応ここまで心配はしたのですが、

実際は「昨日の今日で何してるんですか」と諸々の意図が省略された

発言になりました。

日本語には「口下手」という便利な表現があって本当によかったです。

重慶は山地の都市で美しい景色が見られますが、起伏もトンネルも多いため

土地勘のない人間が地理を把握するのは難しく、タクシーを拾うのが大変です。

中国では目的地と反対方向の道路でタクシーを捕まえてしまうと

1、Uターンできる道路まで遠回りになる 

2、運転手に盛大に舌打ちされる 

3、乗ってる間中、運転手から文句を言われる 

4、「これだから他の都市の人は・・・」とお説教+エンドレス地元自慢が始まる 

5、黙って回り道されぼったくられる

の5つのうちいずれかに該当する確立が高く(親切な人ももちろんいますが、

当たるかどうかは運次第です)どれも避けたいのですが、今回は時間帯が

悪かったのか、会食後ホテルに戻ろうとしてもタクシー自体が全く

見当たりません。そんな時、唯一の選択肢となるのは非正規営業のタクシー、

いわゆる白タクです。中国語では日本語とは逆に「黒車」と呼ばれ、

目的地についた途端法外な料金を請求される、誘拐事件の温床と化している、

正規タクシー業界への打撃が大きいなどの理由から厳重な取り締まりが

なされていますが、その数は一向に減りません。

安全性はゼロですが中国の都市部郊外の工業区や終電を逃した繁華街

などではそもそも白タク以外に移動手段がないことも多く、自己責任で

安全そうな車を選び賭けに出るしかありません。重慶でも大通りで

立ち往生する私と同僚の前に間もなく一台の車が止まり

「乗ってく?どこまで?」と若い運転手が窓から顔を出しました。

一体どうなるのでしょうか。

詳細は後半、ニュースレターの最後へ!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

◇◇◇()新入社員の日記 2014年11月号(後編)◇◇◇ 

 

安全な白タクを選ぶコツと乗車時のポイントは人により異なりますが、

「乗車前に値段交渉必須」「絶対に先に支払わない」などの基本中の

基本のほか、私が特に重視しておりますのが運転手の人柄です。

不要なトラブルや危険を避けるため温厚そうな人を選ぶのはもちろんのこと、

不幸にも万一トラブルが発生してしまった場合「口げんかや値段交渉で

なんとか勝てそうな相手がどうか」というのは大変重要なファクターとなります。

乗る側が「黙って支払いそうないい客」を狙うのと同様、乗る側も乗る側で

「とっさに計算ができず安い料金で“うん”と言いそうな運転手」を狙う

弱肉強食の世界です。今回目の前に止まった白タクの運転手は若い男性、

フレンドリーで温厚そうな印象、一足先に価格交渉を始めていた同僚との

会話から料金も相場どおりと判明。「○○ホテル?知らない。でもたぶん

なんとかなる!その近くまではいける!50元!」

具体的距離が不明のまま価格をFIXしてしまう運転手。

『この人ならいける』。

そう確信して彼の運転する車に乗り込みました。

果たして無事に帰れるのでしょうか?

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

運転手は予想通りの温厚な人で、私と同僚の日本語のやりとりを

聞くや早速反応し

「あのぅ、つかぬことを聞きますけど、今話してるのは何語?」

日本語というと「TVドラマと全然違う!」と大興奮。

そこから話が弾み、重慶の交通事情について色々紹介してくれたのですが、

ふとメーターを見ると一般道路にも関わらず時速100キロ前後の猛スピードで

直線を飛ばしています。最近は都市部ではスピードカメラが急激に普及して

おり、スピード違反は罰金を取られるはずなのですが、カメラのフラッシュが

光っても無視。気になって聞いてみたところ

『あんなの全部ニセモノだよ。光ってるだけで写真なんか撮ってないって』

『上海あたりは厳しいかもしれないけど、重慶はまだまだ大丈夫!』

何を根拠に“大丈夫”なのか。情報のソースは何なのか。再度問いかけてみると

『我自己也试过好多次!没问题的!』 (何度も試してみたけど大丈夫だった!)

ソースも何も彼の実体験でした。「そっか!よかったね!」と返事をしてから

何かがおかしいことに気づきましたが、あまりに自然な流れだったため一瞬

どこがどうおかしいのか自分でもわかりませんでした。

日本だと罰金になるのかという質問が出たあたりでようやく正気を

取り戻したのですが、そこでも

『中国が日本みたいに厳しくなるにはまだN多年(=何年も)かかるよ』

と言われ、自然に

「そう、じゃあ違反するなら今のうちだね!」

とうっかり返しそうになりました。

交通渋滞などもまだ北京や上海ほど深刻化していないようで、

駐車違反の取締りも

『如果是在高速肯定有罚款了。一般这种马路想怎么停就随便怎么停!』

(そりゃ、高速とかに停めたら罰金だけど、普通の路上なら自由に停め放題!)

とのこと。何を以って大丈夫なのかはもう聞きません。

どうせ実体験に決まっています。

そんな話をしている間にかれこれ30分近く運転したにも関わらず、

私たちの滞在しているホテルはゴルフ場に囲まれた山の中にあったため

まだ相当な距離があります。ここでようやく異変に気付いた運転手が

「えっ、まだ先なの?」「山の中なの?」「50元じゃ赤字だよ・・・」

と焦り始めますが、今頃気付いても乗車の時点で私と同僚の手中に落ちたも

同然の彼に為す術はありません。

「ほら!トンネル!(まず視線を逸らす)」

「友達と楽しく交流して会話したと思えばいいじゃない(キーワード:友達)」

「日中友好!日中友好!(最後はこれでごまかす)」

と丸め込まれ、ホテルの入り口で

『しょうがないなぁ、まぁ、二人とも礼儀正しかったし50元でいいや』

と追加料金なし。お得な料金で重慶事情まで教えてもらい、大変有意義な

体験になりました。数十元の赤字が出ているはずの彼には悪いことを

しましたが、事ここに至っても「Sさん、30元でしたよね?」と

まだ値切ろうとしていた同僚には感服しました。

今回はたまたまいい人に当たり幸運でしたが、白タクの利用は実際に事故に

繋がるケースもありますので、ご利用の際は十分にご注意の上

自己責任でご選択ください。

 

※日記の記事の内容はあくまでも筆者個人の体験であり、

 弊社の社としての見解を示すものではございません。

※記事の著作権は筆者及び筆者の所属先に属するものであり

 無断転載は固くお断りします。