バックナンバー 中国最新情報“ディズニーランド・プロジェクトの現在!” 2014年7月号
中国最新情報 “ディズニーランド・プロジェクトの現在!” 2014年7月号
今月より新たに設けたこちらのコーナーでは、過去の「特集」から視点を変え、
中国現地でしか手に入らない情報を随時ご紹介してまいります。
世界最大規模となるディズニーランドの建設が上海・浦東で始まって以来
はや数年の月日が流れておりますが、昨今ようやく正式オープンのスケジュールの
見通しが立ったと現地のメディアにて一斉に報道されました。
当初は2014年開業がささやかれていた上海地区注目のプロジェクトの
進捗は現在、どうなっているのでしょうか?
- いつ、正式にオープンするのか?
7月25日に開催された川沙新鎮ディズニー関連プロジェクト情報交換会において、
国際旅行リゾート区管理委員会主任助理・郭笑勇氏は2011年~2015年は
上海ディズニープロジェクトの最初の5年間であり、この5年の建設期間のうち、
ディズニーランド一期部分及び関連施設は2015年末に建設完了の見込みと
紹介した。(中略)上海ディズニーランドは世界で6番目のディズニー
テーマパークとなり、米国に次いで第二の規模となる。ディズニーランドは
世界で最も建設コストが高額なテーマパークであり、上海のプロジェクトには
既に350億元が投入されている。
http://sh.house.163.com/14/0728/08/A27RSDH500073SDJ.html
(2014年6月20日 中国新聞網 )
“川沙”というのは上海浦東空港にほど近い、広大なディズニーランド建設地区です。
計画が発表されるまでは上海市内に比べ相当な田舎にあたり、蟹や魚の養殖場や
アヒルの群れなどが目立つ典型的なのどかな長江デルタ地区の風景でしたが、
国家を挙げての一大プロジェクトによりその様子は既に大きく変化しています。
上述の記事によると、ディズニーランドが2015年末に正式にオープンした暁には
川沙地区に毎年1,500万人以上の旅客と100億元に上る収入がもたらされる
見込みとなっています。このニュースは発表に先立ってすでにテレビでも
放送されており、建設地区の様子が公開されるのははじめてとのことで
写真も動画も撮りましたが、ジェットコースターのレールらしきものなどが
すでに姿を現していました。
(写真:2014年6月27日に放送されたニュースの特集画面。)
(写真: ジェットコースターのレール。周囲にはまだ野菜畑が残っています)
ディズニーランドは単純なテーマパークではなく、中国政府は川沙地区全体を
国際的な観光リゾート地にする計画を立てており、巨大な人口湖を取り囲む形で
建設される3つのテーマパークのほか、リゾートホテルや交通施設などが完備
される予定です。そこで懸念されているのは交通機関にかかる負荷です。
上海ディズニープロジェクトは毎年数千万人/回の膨大な観光客をもたらす
予定であり、内外の交通にとっては大きな挑戦である。ラッシュ時には大規模な
観光客の誘導と集中・拡散も必須となる。プロジェクトは“交通の優先”を強調
しており、二本の地下鉄が45%~50%の旅客の運送を担う。
http://news.hexun.com/2014-07-25/166968053.html
(2014年7月25日 和訊網)
二本の地下鉄とは2号線及び11線です。2号線は上海を東西に横断し東の
浦東空港と西の虹橋空港を結ぶラインであり、ただでさえ日頃から大混雑しており、
日本の山手線を超えて『世界一混雑する通勤ラッシュ路線』とも言われています。
一方、11号線は上海近郊の住宅地である嘉定地区に直結する長距離線であり、
こちらもラッシュ時は大混雑です。ここにさらにディズニーランドの顧客が
流れ込んだ場合、冗談ではなく窒息者が出るのではないかと思われる混雑が
予想されます。今を去ること4年前、上海万博が開催された2010年の
「フタを開けてみたら予想以上の人の入り」「パビリオンによっては8時間待ち」
「熱中症続出」という大混雑を覚えておいでの方もいらっしゃるのではないで
しょうか。私は現地に住んでいながらあまりの人出に恐れをなしてとうとう
一度も万博会場には行きませんでした。ディズニーランドには中国の各地から
団体旅行者が押しかけることになり、パークの収益よりもオペレーションよりも
「交通手段」が一番の問題としてクローズアップされることはほぼ確実です。
駐車場の混雑対策や場合によっては入場制限など、各種ノウハウの運用が必須です。
ところで、私がこのニュースを思い出したきっかけはテーマパークそのものの
報道ではありません。上海の永遠の主要トピック「不動産」です。
2、ディズニーランドプロジェクト区画周辺不動産の高騰
上海・川沙地区マンション1㎡あたりの平均取引額推移 (人民元)
http://house.baidu.com/sh/scan/0/302228262891017/
(2014年6月11日 百度楽居)
※表は記事の内容を元に弊社にて作成
※2014年は4月時点、その他は年間の平均価格
上海において不動産の値動きは天気の話題以上に日常的に出てきます。
ごく普通の会社員でも主だった地区の平均地価と代表的なマンションの
名称程度は把握しています。お金の話がタブーではないお国柄もあり、
具体的な数字を交えた不動産の話は会話の主題というよりはむしろ
「アイスブレイク=打ち解けるきっかけの導入会話」程度の気軽さで
なされているといっても過言ではなく、私自身も自分から話題に出すことは
稀ですが、市内の有名なマンションの地価は一通り把握しています。
上海の地価は中国国内でも「离谱=異様」とされるほど高騰しており、
すでに「ほぼ天井価格に達した」と言われてはいるものの、市から離れた
住宅地など、まだまだポテンシャルを秘めた地域は残されています。
特に政府のプロジェクトが始動する地区はねらい目であり、川沙地区はまさに
その代表です。上述の表からご覧いただけるように、6年間でほぼ二倍以上という
伸び率です。ディズニーランドの建設が正式に発布されたのは2009年の第四季
であり、すでに底値の時期は逃して久しいことになりますが、新しいマンションも
続々と建ち、交通設備や周辺の環境もさらに充実化が予定されていることから、
今後も当分地価は延び続けるだろうと概ね業界の意見は一致しているようです。
川沙新鎮の鎮長である謝根明氏も積極的に地域への各種テナント募集に際し
「早くはないが、遅くもない!投資には絶好のチャンスです!」
とアピールに余念がありません。眠っている大額預金をお持ちの方、
上海浦東のディズニー周辺地域で運試しはいかがでしょうか。
但し、外国人が不動産を購入するのは非常に面倒な上、投資にはリスクを
伴いますので、くれぐれもよくお考えの上ご購入ください。
※特集記事の内容はあくまでも筆者個人の私見であり、
弊社の社としての見解を示すものではございません。
※記事の著作権は筆者及び筆者の所属先に属するものであり、
無断転載は固くお断りします。