バックナンバー 社員の日記 2014年3月号

◇◇◇新入社員の日記 2014年3月号(前編)◇◇◇ 

 

ここ数ヶ月、とあるニュースをずっと気にしているSでございます。

今年の1月、世界中が「ついにこの時が」と唸る記事が各国で掲載されました。

 

新たな調査によると、飲酒量が落ちているフランス、イタリアを抜き、

中国が初めて世界最大の赤ワインの消費市場となった。

http://www.ft.com/cms/s/0/f7b193e4-8915-11e3-bb5f-00144feab7de.html#axzz2x25bz8b5

(2014年1月19日 英 ファイナンシャルタイムズ)

 

昨今の西洋料理の普及度と人口比を考えると当然の結果であり、ここ上海でも

一時期の高額ワイン贈答が倹約令の影響で下火になった現在、ビールや

伝統的な中国当地の酒類のほか、ワインが日常の選択肢として定着してきた

実感があります。今後も当分、中国は世界首位を独走することになるでしょう。

面白いテーマなので本件は今後機会を設けて特集にしたいと考えておりますが、

正式なデータ発表があったことで『現地へのささやかな経済貢献』を免罪符に

気候もよくなる春先、おいしいお酒を飲む機会を増やせるのは大変喜ばしい

ことです。実際は春でなくとも夏は「暑いから」、冬は「寒いから」、

秋は「食べ物がおいしから」と結局一年中何かしら飲んでいるのですが、

そこは気づかないフリをしています。

さて、今月も最新のニュースをご紹介します!

 

3月某日  蘇州日帰り出張

 

SGSでは日本業務部だけで中国全土に十数名のセールス・カスタマーサービスを

配置しており、そのため私も時折同僚を訪ねに蘇州に出かける機会がございます。

遠隔地への訪問はその移動の過程も楽しみの一つです。

蘇州は上海から約30分で到着という便のよさ、今回は時間の関係で高速鉄道

(高鉄=新幹線)ではなく急行列車(動車)でしたが、それでも34分の近さです。

中国の鉄道はチケットの購入にも色々とコツが必要です。

中国の方は皆さんICチップが内臓されたカード型の身分証明書を持っており、

これを読み取らせることで自動券売機を使用することができますが、外国の

パスポートには対応しておらず、外国人は自動券売機を使うことができません。

しかし有人の窓口はどこもとても混んでおり、延々と並びます。

その上、一番早く出る列車を指定すると、何の警告もなく発車まで残り時間

10分を切るようなチケットを手渡され、駅を全力疾走することが多々あります。

そのためチケットは代理店を通すなどして事前に入手しておくことが望ましく、

今回の出張はぬかりなく前日にチケットを入手。全てが順調かに見えました。

ところが、指定の車両に乗り込んだとたん嫌な予感が。

やがて予感は確信へと変わることとなります。

さて、ここで突然ですが間違い探しクイズです。

まずはチケットの写真をご覧ください。一箇所明らかにおかしいところがあります。

 

(写真:上海-蘇州のチケット。間違いはどこでしょう?)

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答えと顛末は後半、ニュースレターの最後へ!

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◇◇◇新入社員の日記 2014年3月号(後編)◇◇◇ 

 

前半で出題の間違い探し、皆様答えは見つけていただけましたでしょうか?

ヒントは「上海から蘇州までは30分程度で着く近距離」という点です。

更に大きなヒントを出すと、座席番号のあたりに秘密が隠されています。

一体何が問題だったのでしょうか。

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車両に乗り込んだとたん感じた嫌な予感の正体は、レイアウトの異様さです。

通常は飛行機の座席や日本の特急列車同様、進行方向を向いた座席が

横並びに配置されているはずですが、私の乗り込んだ14号車はなぜか

延々と細長い廊下が続いていました。左手にはドア。これはおかしい。

思い切って中に入ったところ、目前に開けた光景がこちらでございます。

 

(写真:個室内の二段ベッド座席。テレビもあるのですが、電源が入りません)

 

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どこからどう見ても二段ベッド×2の4人用コンパートメントです。

列車の発車時刻は迫ってきます。ここで改めて自分のチケットを確認すると

右上に「軟卧」=「寝台車」の文字が。もう笑うしかありません。

同行者と左手のベッド下段に並んで腰掛けると、ほどなくして女性の二人組登場。

やはり何度も座席番号を確認し、諦めた様子で向かいのベッドに腰を下ろします。

4人用の個室は本来この時点で定員のはずですが、ふと見ると今度は

荷物を抱えた男性二人組が途方に暮れた様子で入り口に立っていました。

個室は3人×2列の6人用だったのです。

上海に戻った後調べたところ、近距離の寝台列車の使用は珍しくないようですが、

少なくとも同室の人々のうろたえぶりから、通常は近距離の場合チケットを

買う時点で何らかの注意があるであろう事、そしてそれが無かったであろう事の

2点だけは確信が持てました。

説明漏れは日常茶飯事です。気にしていてはきりがありません。

道中は4人用の個室に6人が詰め込まれ、2つのベッドに3人ずつ向かい合う

形になりましたが、赤の他人が3組では会話もなく、気まずい空気が流れます。

結局誰一人終点まで乗る人はおらず、全員が蘇州で途中下車。

滅多にない貴重な経験ではありましたが、蘇州で用事を済ませ窓口で復路の

切符を入手した後、今度は高速鉄道(新幹線)の席が取れたにもかかわらず、

真っ先に「寝台車」の記載の有無を確認したのは言うまでもありません。

まさかその後、復路の指定座席には既に別の人が座っており

「夫婦で並んで座りたくて他の人と席替えてもらったから、君そっちに座って」

「え?誰と替えたかって?さぁ、誰だったかな、忘れちゃった。あはは」

と、並びの席を確保してくれた上司の努力が無駄になるとは思いもしませんでした。

このように細かいトラブルは数あるものの、中国の鉄道は概ね時間通りに発着し、

設備も新しく、欧州のようにストライキが頻発することもなく非常に便利です。

初めて利用される際は現地事情に詳しい方といらっしゃることをお勧めしますが

日本では味わえない独特の旅情はとてもよい思い出になると思います。

但し、お座席が突然寝台車になる可能性はご了承ください。

 

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