バックナンバー 社員の日記 2014年2月号

◇◇◇新入社員の日記 2014年2月号(前編)◇◇◇ 

 

春節は凍える上海でいかに外に出ないかに命をかけていたSでございます。

人口が激減する上海はタクシーもすぐつかまり、人気レストランもほぼ待ち時間

ゼロ、ショッピングモールも人がおらず快適、おまけにセール最終シーズンと

あって底値の残り物を攫う絶好のチャンスです。このような事情から毎年1-2月は

北風に震え、翌月のカードの請求に震え、と二重の寒さを味わうのが恒例ですが、

今年は休みの後半から気温が大幅に下がったためデブ症、いえ、出不精にすごして

おりました。一方、中国からは今年も大量の旅行客が世界の観光地へ飛び立ち、

その国の消費を大きくリードしていた模様です。“今月の特集”で後ほど詳しく

ご紹介しますが、金額は減少しつつあるとはいえ、中国の旅行者が世界の

ブランド店のVIPであることにいまだ変わりはありません。

春節期間だけで全世界69億米ドルの贅沢品消費です。いずれにせよ、デリバリーの

ハンバーガーに卵を追加するか(+10元)で悩み、「玉ねぎ要らないから卵は

安くならない?」などと聞く私には無縁の話です。ビール6缶を頼まなければ

卵など追加し放題だったと気づくのは電話を切った後です。

前述のカードの請求も、しまったと思うのは会計時ではなく翌月の明細を

見た後です。中国語も日本語も “後で悔いる”と書いて後悔と読みます。

漢字は奥が深いです。

さて、気を取り直して今月も最新のニュースをご紹介します!

 

2月某日  “意図的放出”とは?

 

SGSに入社してニュースレターを書くのもはや8回目、そろそろ新入社員を

名乗ってもいられない崖っぷちですが、便宜上タイトルは据え置きにしております。

業務への理解が少しずつ深まっていくにつれ、ふとした拍子に耳に入り、

いつまでも印象に残る不思議な専門用語がこのところいくつか出現しています。

私がその言葉を始めて耳にしたのは今月のある会食の場でした。

中華レストランで配られたティッシュに芳香剤が含まれており、それを使用した

営業マネージャーが「これは意図的放出だ」と教えてくれたのがきっかけです。

これは欧州REACH規制の化学物質の放出に関する規定ですが、

「どんな場合に意図的放出とみなされるのか?」の定義が難しく、

ケースバイケースで判断が必要になります。

 

1、放出がないと製品が十分に機能しない場合は意図的放出とみなされます。

ペンのインクやスプレー式殺虫剤の薬剤などがこれにあてはまります。

時折振れど叩けどインクの出ないペンに当たりますが、それは単なる不運です。

振った拍子に思い切り噴き出すこともありますが、それはたぶん規制云々ではなく

「不運な使用者による非意図的噴出」とでも言うべき事故になるような気がします。

 

2、最終機能に直接関係はないものの、放出によってその成形品に付加価値が

付く場合もやはり意図的放出とみなされます。従って前述のティッシュは

こちらです。正直なところそのティッシュは香りが非常にきつく、付加価値と

“香害”の境目をさまよっている印象でしたが、確かに値段は普通のティッシュ

より高そうでした。

 

反対に、製造過程で不純物の除去に際して放出する場合や製品の使用中や

メンテナンス時に放出されるが製品機能には寄与しない場合、意図的放出には

該当しないそうです。とはいえ、具体例がないといまひとつ理解し難い。

そこで早速身近なものに結び付けて考えてみることにしましたが、

過去の日記でもご覧いただいているように、私は例題の選択や結論の出し方に

色々と問題があります。

果たしてきちんと理解できるのでしょうか。後半はニュースレターの最後へ!

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

◇◇◇新入社員の日記 2014年2月号(後編)◇◇◇

 

“意図的放出”の定義がケースバイケースである点は前半で理解しました。

そこで具体例を挙げて考察をしようと思い立ちましたが、折角のこの機会、

真面目な定義を考えるよりおもしろおかしく極端な例について考えたほうが

理解しやすいのは明らかです。勉強は楽しくやらなくてはいけません。

一体どのような例を挙げたのでしょうか。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

芳香剤を含んだティッシュが“意図的放出”に該当すると聞いた時点でまず頭に

浮かんだのは「香りつきの製品はすべて該当するか否か」という問題です。

香りつき消しゴムなど、製品の付加価値に寄与する場合は該当とみなされる

そうなので、全てとはいえなくとも香りがその製品のセールスポイントや

他製品との差別化に繋がっている場合は該当する可能性があります。

では、結果として香りが付加価値として機能しなかった場合はどうなるのか。

ある香りを快と感じるか不快と感じるかには個人差があるので、このポイント

から問題を考察するのは明らかに間違いなのですが、食卓でトイレの消臭剤に

限りなく近い匂いをティッシュから嗅がされた身としてはどうしてもここが

気になります。例えば、匂いが強烈な個性となっている食べ物は意図的放出に

あたるのでしょうか。

中国に“臭豆腐”というその名の通り臭い豆腐があり、軽食として人気があります。

どの程度臭いかというと、地下鉄の入り口の屋台で販売しているたけで、

周囲一体が匂うほど強烈です。食べるまでは勇気が要りますが、実はなかなかの

美味です。匂いそのものは悪臭に近く、香りが付加価値になっているとは

言い難いのですが、あの匂いがないとしたらそれはもはや臭豆腐ではなく

ただの揚げ豆腐です。かといって料理として臭い匂いが必須かと言えば

そんなことはなく、ないならないでそれなりにおいしく食べられるような

気がします。臭豆腐は匂いに因って存在するのか?またしても哲学的な内容に

なってまいりました。そんなことより本当は豆腐が「成形品」なのかどうかが

一番の問題なのですが、お酒の席であったこともあり肝心なところまでは全く

頭が働かず、「飲みすぎた時に体から発せられるアルコール臭は意図的放出?

VOC?」などと全く見当違いの問題について延々と考えておりました。

ライターのガスやプリンタのインクなどが放出の具体例であると知ったのは

後日です。繰り返しますが中国語も日本語も “後で悔いる”と書いて後悔と読みます。

『臭豆腐は意図的放出に入るの?』などと弊社ラボの専門家に突撃インタビューを

しかけ日本業務部の上司や同僚に迷惑をかけなかったことだけが唯一の救いです。

今後は一層気をひきしめ、セミナーの情報や業界ニュースなどの有益な情報を

お客様に意図的放出できるよう、努力していく所存でございます。

(注:情報は化学物質ではないのでこれも対象外です。)

 

※日記の記事の内容はあくまでも筆者個人の見解であり、

 弊社の社としての見解を示すものではございません。

※記事の著作権は筆者及び筆者の所属先に属するものであり、

 無断転載は固くお断りします。