バックナンバー “上海 勝手にレストラン・バー・アワード!” 2015年4月号

“上海 勝手にレストラン・バー アワード!” 2015年4月号

 

このコーナーは、独断と偏見に基づき、お店の許可も一切取らず

社員が文字通り「勝手に」ステキなお店をご紹介する場です。

九回目、人生の数少ない輝く思い出のほとんどが食べ物絡みのSがお届けします。

「幸福とは何ぞや」というテーマは哲学の発祥の段階から再三議論されている

難しいテーマであり、時代と社会の影響や個人の価値観によりその定義は

千差万別ですが、ささやかでシンプルな幸せを身辺に見出し、素直に楽しい

気分を満喫することで免疫力も強化され、どこぞの不摂生な会社員のように

延々と風邪を引くこともなくなるのではないでしょうか。

はい、注記するまでもなく私のことです。

心身ともに疲れ切っている時は好物を食べに行くに限ります。食事は楽しく

摂るべきですので、そもそもそんな言い訳ばかりで外食が続いていること

こそ不摂生の根本的原因なんじゃないかというツッコミはひとまず棚上げ

しておきます。さて、私が勝手に“世界の三宝”と呼んでいる酒・つまみ・

甘いものという幸福の3要素が揃ったお店は上海にも多々ありますが、

今回ご紹介するこのお店はフランス・ブルターニュ地方のそば粉の

クレープの専門店です。数年前の開店当時は桃江路の本店しか店舗がなく、

予約が取りにくかったので足が遠のいていましたが、静安寺のデパートに

支店が出来てからアクセスも予約の利便性も格段に向上。

フランス人オーナーが経営するこのお店では、様々なバリエーションの

具を乗せることで主食にもデザートにもなるかの地で“ガレット”と呼ばれる

クレープを常時数十種類提供しています。

 

La Creperie

住所:南京西路1601号芮欧百货1D (本店は桃江路)

電話:02132537978

 

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(写真: 弊社男性社員が瞬く間に2枚平らげた巨大クレープ 

     この世の幸せが詰まっています)

 

このお店はオイスター(生牡蠣)も新鮮です。

おなじみ“フィン・ド・クレア”や私の大好物である“クマモト”なども

取り揃えてあり、口に入れた瞬間、脳内にフル・オーケストラを従えた

Carmen Cavallaroが弾く軽快なショパンのポロネーズが響き渡るような幸福感。

至福のひとときです。曜日限定で提供されるムール貝のワイン蒸しには

カリカリに揚げたフライドポテトが付いてきてこちらもお酒が進みます。

お酒はフランス語でシードル、英語でサイダーと呼ばれるリンゴの発泡酒の

セレクションが光り、ボトルをシェアするつもりが毎回一人一瓶の配分に

なります。そして何と言っても真骨頂はデザートの甘いクレープです。

チョコレートソースや塩キャラメル、アイスクリームやフルーツを

組み合わせ、座席でフランベしてくれる“火焔シリーズ”などは当地の

ブロガーにも大人気です。私は数ヶ月に一回クレープを食べずに

いられない禁断症状を抱えており、一度発作が出るとデスクに伏して

「クレープ食べたい」「クレープ・・・」「うあああ」

と延々呟き続ける重症患者ですので、注文が席に届いた段階で完全に

思考力を喪失。ナイフとフォークを握り締め、頭の中にはPharrell Williamsの

ヒット曲がエンドレスで流れます。

♪Clap along if you know what happiness is to you 

 手を叩こう 幸せが何か分かったなら♪

私にとっての幸せとは何か。少なくとも今この瞬間、それは目の前の

クレープに他なりません。幸福の青い鳥が案外近所に居たパターンには

人生で時折遭遇しますが、“運命の人が実は自分の幼馴染だった”などという

ドラマ的展開が仮にあったとしても相手と結ばれるかどうかは運と努力次第です。

幸福そのものが駅直結のデパートに存在しているお手軽さにはかないません。

何しろ数十元出せば必ず手に入るのです。

貴重です。クレープは私を裏切らない。

しかし手を叩いて踊っているヒマなどありません。

とにかく食べるのに忙しいからです。

♪Clap along if you feel like that’s what you wanna do 

 手を叩こう そうしたいと思ったなら♪

繰り返しますが手はこの際どうでもいい。ただひたすら食べるのみです。

同席の会社の同僚男性二人もダ○ソンの掃除機のように食器を空にしており、

そのうちの1人は完食後すかさず追加オーダー。完全に別世界にトリップして

いた我々3人がいかに異常だったかというと、店内で私たちだけが喜色満面の

フランス人店員から食後のコーヒーの無料オファーを受けたほどです。

ちなみに結局どれだけ食べたのかは「もう・・・お腹が一杯で・・・」と

涙をのんでコーヒーを断った返答からお察し下さい。

世界はあらゆる種のストレスで満ち溢れていますが、気の合う仲間や家族と

楽しむおいしい食事は間違いなく人生最高の幸福の一つです。

♪Clap along if you feel like happiness is the truth 

 手を叩こう 幸せこそが真実だと思うなら♪

但し『幸福と共に得た“摂取カロリー”については完全に自己責任になります』

という一文をわざわざ購入したヨガマットがそろそろ部屋のオブジェと

化しつつある私から追記しておきます。

 

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