バックナンバー  “上海 勝手にレストラン・アワード!” 2015年6・7月合併2周年特集号!

 “上海 勝手にレストラン・アワード!” 2015年6・7月合併2周年特集号

 

このコーナーは、独断と偏見に基づき、お店の許可も一切取らず

SGS社員が文字通り「勝手に」ステキなお店をご紹介する場です。

今回は2周年記念として通常の倍の文章量でお送りしております。

12回目、過去の連載の中で今回のチョイスに最も頭を悩ませたSがお届けします。

レストラン・アワードには何故中華があまり出てこないのか。

それは予算と接待の相手を聞かないと店を絞り込めないほど選択肢が

多すぎるからです。『中国なんだから中華が一番安くておいしいでしょ?』

という思い込みは我々外国人が犯しやすい過ちの一つであり、『中国だからこそ

本物の高級中華が溢れており、高い店は海外よりはるかに高い』という点から、

まずは予算の問題が挙げられます。

特に上海は物価が全国平均を上回る高騰地区。高級店では1人数万円、

1卓十数万円の予算が必要です。広東料理店でほぐれていない(=春雨などの

まがい物ではない) “繋がったフカヒレ”などが出て来た場合、お会計は1人2万円は

下らないと踏んでよいでしょう。個室なら尚更です。但し、一人5万円、6万円の

バブルな中華になると今度は“高そうな味”が“美味”の概念とちょっとズレてくる

リスクがあります。

二つ目の問題は場所です。安くておいしい庶民的なお店もそれこそ星の数ほど

ありますが、「接待に使うには内装がショボい」「味はいいけど接客が・・・」

という難点があります。

そして最後、三つ目に「実は上海にはあまり名物がない」という最大の難関が

あります。誤解なきように注記すると、これは私の感想ではなく、地元上海の

方々のコメントです。上海は近代に発展した移民の街ですので“上海名物”

というよりは“近郊の土地の名物”が多く、上海蟹や小龍包などがその筆頭です。

本物の伝統上海料理は一般家庭でしか食べられず、必然的に名物メニューも

“家庭料理”がメインになるので、高級な接待となるとどうしても値段もお店の

格もそれなりで、海鮮がメインの広東料理などに軍配があがります。

私は幸い、一般家庭の上海料理に接する機会が多々あるのですが、

感想はとにかく『甘い』の一言です。濃口醤油と氷砂糖をカラメル状に

なるまで煮詰めた“紅焼(ホンシャオ)”味が名物で、豚の三枚肉を煮込んだ

“紅焼肉”と白いご飯が上海人のソウル・フードです。

調理過程と材料は沖縄の豚肉の煮込み“らふてー”とほぼ同じですが、

味はもっともっと甘く、そして醤油で色が真っ黒です。日本人の感覚からすると

やや甘すぎで、中国の他地域の方も「実は上海料理は苦手」という場合が

ありますが、慣れとは恐ろしいもので、今ではこれらが私の大好物です。

伝統の味を再現するコツは土俵に塩撒く力士の如く、

ケチらず景気よく砂糖を鍋にぶちまけることです。

さて、上述の理由から地元の方は「紅焼肉だったらお父さんが作ったほうが

おいしい」「わざわざ外に食べにいかなくても」と家庭の味に絶対の自信を

持っていますが、そんな皆さんもたまには家族や友人との集まりでレストランを

利用することがあります。

そこで今回は2周年記念として、上海人推薦の上海料理を3軒ご紹介します!

 

江酒家

住所:南京南路1111号 

電話:02162531265

 

伊勢丹の真向かいに自社ビルという絶好のロケーション。

最近では珍しい、店内の顧客も店員もほとんど上海語(普通語=北京語も当然

通じます)の地元密着型老舗レストランです。

お勧めは何と言っても「元宝蝦(ユエンバオシャ)」。やや大型サイズの蝦を

高温で短時間、繰り返し揚げることで殻と身がきれいに分離する甘口の

唐揚げは、繊細な温度管理が必須、一般家庭では再現が難しい職人技です。

私はこの料理が運ばれてきた途端、食べ終わるまで15分ほど無言になります。

運がいいと結婚式の宴会なども見られます。

 

园酒家

住所:襄阳北路108号嘉中心会所1-2(その他市内に多数店舗あり) 

電話:02151083377

こちらは市内に数店舗を有するチェーン店で、外国人慣れしたお店です。

お勧めはおなじみ“紅焼肉”、

『(色が)黒い!(味が)甘い!(量が)多い!』

の3点を見事に満たした山盛りの三枚肉は試す価値アリです。

時折、さじ加減を間違えるのか日によって味が甘すぎたり、オーダーが漏れたり

する場合もありますが、まぁ、誤差の範囲内です。ご飯を追加すれば問題あり

ません。紅焼肉の煮卵は別料金で追加するシステムですが、必ず人数分頼んで

ください。奪い合いになります。

 

新吉士

住所:黄金城道91 (その他市内に数店舗あり) 

電話:02161295443

上海名物“葱油拌面(ツォンヨウバンミェン)”は葱油の和え麺ですが、

シンプルがゆえに加減が難しく、店によって当たり外れがあります。

欧米人客も多く、華やかな他の料理に目を奪われますが、ここの隠れた名品は

この麺です。上海料理=甘口の概念を覆す適度な塩辛さももちろんお勧めの

ポイントですが、注目すべきはダシに使われる干し蝦です。

“开洋(上海語:ケーヤン)”と呼ばれる干し蝦は上海料理のダシに欠かせませんが、

蝦が痩せている粗悪品や水で戻しきれておらず塩辛いだけのものも多い中、

このお店ではふっくら肉厚なケーヤンを完璧にもどしてあり、

殻まで食べられます。和え麺の特徴上、もたもたしていると麺がくっついて

しまうので、料理が運ばれたら速やかにかき混ぜ、一心不乱に平らげてください。

 

以上、ご紹介のお店は全て(上海の物価にしては)合理的なお値段、

新吉士、圆园、新镇江の順に外国人慣れしたお店です。どこもメニューには

写真があり、新镇江に至ってはメニューがiPadになっていますので、

多少言葉が通じなくても指差しでオーダーできます。

旅行の際に立ち寄るのもお勧めです。

ちなみに今回、葱油の和え麺をご紹介するにあたり上海の知人たちから

『何故そんなつまんない料理を紹介するんだ』と呆れられました。

私たち日本人が“スーパーのお寿司に感動する外国人”に遭遇した時のような、

ちょっと残念な心持ちになるそうですが、地元の人が食べ飽きた料理とは即ち、

飽きるまで食べるほどおいしいという証明でもあります。

シンプルな伝統の味、糖分過多にだけご注意の上ご堪能ください。

 

※記事の内容はあくまでも推薦者個人の見解であり、

 弊社の社としての見解を示すものではございません。

※記事の著作権は筆者及び筆者の所属先に属するものであり、

 無断転載は固くお断りします。

バックナンバー 中国最新情報 “食卓の見えざる刺客、“地沟油”問題!” 2015年6・7月 2周年記念合併号!

中国最新情報 食卓の見えざる刺客、“地沟油”問題!

2015年6・7月 2周年記念合併号

 

お店や料理の値段に関わらず、どんな場所でも食の安全が懸念されるのが現在の

中国の情況ですが、その問題を最も体現しているのが地沟油です。

肉や野菜などはまだ避けようもありますが、油となるとどの料理にもほぼ必須の

材料であり、また中華は揚げ物も多いため、市民の懸念は高まる一方です。

そこで2周年記念の今回は、地沟油の現状と最新のニュースをご紹介します。

 

  • そもそも地沟油とは何なのか?

 

中国語の地沟=ディーゴウとは日本で言うドブのことです。地沟油とは

文字通り“ドブ油”のことで、排水路やドブに捨てられた油を回収し、

色々と違法に手を加え、新しい“食用油”と偽って市場に出回っている

廃油のことを指します。

上海の街中で、残飯を満載した巨大なポリタンクを荷台に積んだ三輪車

などを見かけたことのある方もいらっしゃると思います。

中身はレストランやホテルの残飯、何度も使い古した揚げ物の油、そして

ドブ水の表面に浮いている油をすくったものなどで、まさにこれらが

地沟油の原材料です。材料費はタダ同然。

モラルの問題をひとまず置いておくとすれば、最初にこれを食用油に再利用

しようと思いついた人は天才だと思います。

但し、「安全性は・・・?」などという質問はもう問う方が野暮というもので、

安全であるはずがありません。

 

すくい取ってきた大量の濁った沈殿物や、赤みがかったペースト状のものに、

丸一晩かけろ過・過熱・沈殿・分離を施すと、悪臭を放つゴミが清く澄んだ

“食用油”に変化し、最終的に人々の食卓に舞い戻ってくる。(中略)地沟油は

3種に分けられる。一つ目は狭義における地沟油で、下水道に漂っている油や

ホテル、レストランの残飯を簡単に加工し産出する油である。二つ目は質の悪い

豚肉、豚の内臓、豚の皮を加工後に産出される油である。三つ目は一定の回数

以上使用した揚げ物の油を再利用、或いは部分的に新しい油を加えて

再利用するものである。

http://baike.baidu.com/link?url=f1g_cksjiyyd3srzr7RTvJp5cQMqwH-YRlVKNxeS5UN6IoP8E7WznwBG5Ot6jeIuMAKM8oAFhu8Z2kFzdsa5zK

(百度知道)

 

知れば知るほど「地沟油にも種類がある」などという豆知識はこの際もう

どうでもよくなってくる恐ろしさです。どうせどれも安全ではないのです。

このWEBの解説によると人体への副作用は消化不良、細菌感染のみならず、

胃がんや腸がんのリスクも右肩上がりです。これら最低品質の地沟油の

販売先は(グレードの低い)ホテルやレストラン、家畜の養殖基地、工場や

学校の食堂、そしておなじみの屋台など、とにかくコスト最重視の場所

ばかりです。あまりにも安いレストランや得体の知れない屋台などを

避けることは容易であり、食堂の業者も取り替えることができますが、

家畜の飼料に混ぜられているとなるともう逃げ場がありません。

日本始め海外の消費者も安心してはいられません。

加工品に使われたらおしまいです。

中国の消費者が恐れているのはまさにこの点で、

「どんなに安全そうな物でも、その源まで遡ることはできない」

のが一番の懸念点になっています。

食費を出費と捉えるか、保険費ととらえるかは人により異なりますが、

値段につられて飛びつくな!という意見は上海現地の人とも共通した

一般認識です。私はかつて師と仰いだ方の

『あんたたち外国人はね、私たち中国人が絶対に食べないような変な屋台の

羊肉や鍋を珍しがって食べてお腹を壊す!そして中国の食べ物は不潔だとか

勝手なことを言う!ケチるんじゃないわよ!食事にはお金をかけなさい!』

という教えを10年厳守しており、ザリガニも屋台の食品も一度も食べた

ことはありません。

(注:食用ザリガニの料理は上海の夏の風物詩で、有名店は行列ができます)

市民のみなさんもより安全な食品へのリサーチに余念がなく、かさむ食費に

頭を悩ませながらも健康をお金で買う生活を続けています。

そんな中、今月また改めて地沟油の恐怖を煽るニュースが報道されました。

一体、何が起こったのでしょうか。

 

  • 上海過去最大規模の摘発!しかし報道が・・・

 

7月初旬、市民の摘発による大規模な地沟油基地の摘発があり、

ニュースで早速報道がありました。

私が見たニュース動画を下記リンクからご覧いただけます。

 

http://imedia.eastday.com/node2/2013imedia/news/shxw/u8i654288.html

(2015年7月4日 東方網)

※中国語音声のみ、上海語、その他方言などには中国語字幕が付きます

※音が出ますのでご注意ください。

 

事件のあらましを上記動画を元に箇条書きにまとめます。

 

1、事の発端

上海郊外“宝山地区 城中村”付近の住民某氏(冒頭、上海語でインタビューに

応じている老人)が近所の数百㎡の空き地に数百個のドラム缶が置いてある

と匿名でTV局に通報。「すでに3年近く見張っていたが、煙が出ているなどは

しょっちゅうで、出入りしている人間も怪しい。油をこっそり運搬している

のを頻繁に見かける」とコメント。

2、記者の取材

記者が現場に取材に行くと、確かに油桶を積んだ小型トラックが出入りしており、

何かを燃やした痕や薪を置いたテントなどが散在している。現場では作業員が

「レストランから回収してきた」悪臭のする油を屋外でドラム缶で煮詰めている。

3、油の行方

記者が油の運送先を突き止め、油は宝山から同じく郊外の「嘉定虹橋潤滑油工場」

(筆者注:上海市内長寧区の虹橋地区とは無関係)に運ばれていることが発覚。

工場内には腐敗臭が立ち込めているが、潤滑油を作っている様子はない。

工場内の人員に話を聞くと「俺は関係ない。場所を貸しているだけだ」

「同郷の人間に貸しているが、3-4人(社)が共同で借りている」とコメント。

4、ようやく政府が登場

番組が放送された後、ようやく“嘉定公安市場管理局”等が摘発に動き、宝山と

嘉定の二拠点にガサ入れを決行。宝山ではドラム缶96個、1.9万斤≒9500kg

相当の大量の地沟油を押収。

5、オーナーの身柄を拘束

嘉定虹橋潤滑油工場法人代表の楊氏が捕まる。「安徽省出身の某氏に貸しただけ」

「自分は地沟油には関わっていない」と主張するが、公安局に連行され尋問の後、

「地沟油は山東省の某バイオ企業でディーゼル油の原料にされている」と自白。

6、事件のフォローアップ

宝山の基地に出入りしていた運送人員たちはすでに夜逃げ。現場に立ち入った

警官は「運送人員は引き続き探し、油の出所を突き止めて調査する」とコメント。

 

一拠点だけで9,500kgという大規模な摘発ですが、こんなものは氷山の一角、

すでに市場に出てしまった油の行方は分からず、また本当に非食用用途

として使用されているのか、つかまった楊氏がスケープゴートである可能性は

ないのか、などなど謎は色々残ります。その後、私はこの事件の後続情報を

知りたかったのであちこちネットを検索したのですが、その後TVからも

WEBからもこのニュースがふっつりと途絶えてしまい、閲覧できる記事は

一つもありませんでした。

何故、冒頭の老人はわざわざ“匿名”で基地を摘発したのか。

何故、市民の摘発があるまで公安が動かなかったのか。

そして何故、これだけの規模にも関わらず事件の報道がないのか。

皆様理由はお察しのことと思いますが、非常にデリケートな内容になりますので

ここから先は「ニュースレター・ノーカット版」をご覧の方にのみ

お送りすることとし、記事の結びとさせていただきます。

 

※特集記事の内容はあくまでも筆者個人の私見であり、

 弊社の社としての見解を示すものではございません。

※記事の著作権は筆者及び筆者の所属先に属するものであり、

 無断転載は固くお断りします。

バックナンバー 社員の日記 2015年6・7月2周年記念合併号

社員の日記 2015年6・7月2周年記念合併号

 

壊滅的なネーミングセンスのなさに悩むSでございます。

2015年7月をもって、本ニュースレターも発行2周年を迎えることができました。

これもひとえに毎月ご愛読くださっている皆様の暖かいご声援のおかげです。

本当にありがとうございます。2周年を期に今月号より日記のタイトルを変更

しております。まず、“第何回”という記載を削除しました。これは月を記す

ことでより読者の皆様の利便性を図るためであり、間違っても

『合併号と発行日のズレで一体、今月が何号目なのか自信がなくなってきた』

わけでは決してございません。ええ違いますとも。

そして日記のタイトルもいい加減毎月ボスから

「もう“新入社員”じゃないだろう」と言われ続けて二年経ちながらも、いい

タイトルが一向に浮かばないので、シンプルに“社員の日記”といたしました。

本当は過去、“大穴万馬券・Sの日記”というのが候補に挙がっていた

(注:ボス発案。何故こうなったのかの経緯は割愛)のですが、

大穴は万馬券であるからこそネーミングとして成り立つのであって、

勝てなかったら単なる負け馬券であり、勝率という名の業務パフォーマンスに

自身のない私はリスクヘッジのためこっそり却下させていただきました。

今後も少しでも皆様にお楽しみいたただけるよう、大穴は大穴なりにベストを

尽くす所存でございます。そしてここでお知らせですが、今月よりこちらの

ブログでニュースレターの日記・特集・レストランアワードのバックナンバーと

最新号をご覧いただけるようになりました!

ブログ左上の欄に「バックナンバー」と入れ検索いただくと、2014年1月からの

バックナンバーをご覧いただけます。セミナーのご案内や最新のニュース、

そしてブログ限定連載などもこちらにアップされますので、是非ご覧下さい。

バックナンバーを一気にアップロードしてしょぼしょぼする目に目薬など

さしつつ、今月も最新のニュースをお届けします!

 

6月某日 上海たのしい乗り物一覧

 

上海には様々な移動手段が存在します。私個人の主な手段は車かタクシーです。

車は一時期購入を考えたものの、どうしてもたかが上海ナンバーの取得に100万円

以上払うのは納得できず、結局レンタカーとタクシーを使い分けています。

自動車がその人の社会的地位を表すステータスであるのは、世界各国共通、

ここ上海も同じですが、なけなしの貯蓄をはたいてそれなりの車を買っても

隣に時価6,000万円相当のマクラーレンの改造車などに並ばれることが多々

あるので、思いっきり予算に余裕のある人はますます高い車を、一般の人は

燃費や用途を考慮して予算内のものを、と客層は二極化しているようです。

ちなみに上海は狭い路地が多いのに何故か巨大なSUVばかり売れます。

その割合たるや、かつてポルシェに勤めていた知り合いが

「我们是做跑车的! 不是专做SUV的!!」

(うちはスポーツカーのメーカーなの!SUVだけ造ってるわけじゃないの!!)

とブランドイメージを覆す文句を言っていたほどです。確かにポルシェは

“カイエン”ばかり見かけます。何かわけがあるのかと色々聞いたのですが、

実際特にこれといった理由はなく、『どうせ買うなら大きいやつ』という単純な

要素と、『道の割り込み合戦(譲り合いは発生しない)になった時、大きい

ほうが便利』という実用性の問題だそうです。

自動車は確かに便利ではあるのですが、爆発的増加により市内は車を停める

場所がなく、渋滞も深刻化しており、自家用車・バス・タクシーより地下鉄の

方が確実に移動できる地域も多いです。しかし地下鉄が開通していない地域では

その恩恵を受けられません。そこで登場するのが市民の足『原付』です。

「上海はあまり自転車をみかけない。昔の中国のイメージと全然違う」と時折

日本人の方から聞きますが、それもそのはず、車の運転が荒く、のんびりと

自転車など漕いでいたら間違いなく轢かれるからです。一方、原付の普及率は

すさまじく、近年ではヴェスパのデザインをパク・・・いえ、ヴェスパから

インスパイアされたのであろうちょっとおしゃれな原付が人気です。

しかし一口に「原付」といってもそのタイプは多種多様、またその使用方法も

日本のそれとは大きく異なっています。一体どこがどう違うのでしょうか。

詳細は後半、ニュースレターの最後へ!

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日記の前半で原付、原付と書いてきましたが、厳密に言えば上海には

ガソリンで走る本物の原付と、電動自転車というには大分ものものしく、

スピードも出る電動二輪が混在しています。販売価格の差や個人の好みから

人気も二分されているようですが、どちらを選んでも交通事故の確率は

自家用車や徒歩よりはるかに高く、危険性を底上げしている一番の原因は

運転マナーの悪さです。道路を逆送するなどは日常茶飯事で、非・自動車道が

混んでいると車道を縫うように走る、歩道を時速40キロで飛ばす、など

死にたいとしか思えない無茶な運転をしています。しかもほぼ全員もれなく

ヘルメット未着用ときています。また、原付のクラクションは歩行者への

注意喚起ではなく

『減速するつもりはないが、警告はした。ぶつかったらお前が悪い』

という一方的通告であり、全速力で突っ込んできますので、自分が歩行者の

場合は速やかに回避するのが一番です。反対に、車を運転する場合は

両者にらみ合い、一歩も引かないクラクション合戦が展開されます。

原付『びー!びーびーびびびびびーーーー!』(減速せず突進してくる)

車『ぶぉおおおおおん!カチっ』(クラクション長押し+ハイビーム)

原付『びー!びー!びー!』(ちょっと減速)

車『ぶぉん!ぶぉん!カチカチカチカチカチ』(クラクション連打+パッシング)

原付『びー・・・・』(向こうがよけてフェードアウト)

日本の常識だとマナーの方が優先ですが、上海ではこれをしないと

事故になります。

警察ですか?警察は事故にならない限り無介入です。

どの路地もこの調子なのでいちいち摘発していてはキリがなく、

そもそもパトカーが同じような運転をします。

さて、原付の無謀な行動はこれだけではありません。

どのようなものなのでしょうか。

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原付の危険性を上げている大きな問題として、「数人乗り」があります。

私があえて「二人乗り」と書かず「数人乗り」と書いたのは、二人以上で

乗り回している人が結構多いからです。

今までに目撃した最高記録は4人+1匹です。どのような内訳かというと、

運転している旦那さん、その胸にコアラのようにしがみつく小さなお子さん、

後ろに奥さん、その背にもう一人お子さん、そして旦那さんの足元に小型犬

というメンバー構成でした。ポメラニアンとおぼしき小型犬は不安定な原付の

足元でサーフィンのように見事にバランスを取っていましたが、

人数はともかく『原付の足元に犬』という構図はわりとよく見かけます。

あんなに有名にも関わらず私が一度も上海雑技を見に行かず、

人にも勧めないのはわざわざお金を払わなくとも雑技やサーカスは街中で

いつでも見られるからです。

警察ですか?警察は事故にならない限りやはり無介入です。

呼んだところで警官の白バイ二人乗り率もかなりの高さなので、

せいぜい注意で終わるでしょう。

原付以外の乗り物ですと「電動車椅子」があげられます。

「それは交通手段なのか?」というツッコミはひとまずさておき、2年前、

某公園の裏手で遭遇した80代前後のお年寄りは、1人が椅子に腰掛け、

同年代のもう1人が後方に乗り上げる形で二人乗りをしていました。

しかも、目的地に着いた途端、腰掛けていた方のお年寄りはおもむろに

立ち上がり、もう1人と一緒に賭け麻雀で盛り上がっている民家の一階に

すたすたと歩いていきました。

一瞬驚きましたが、確かにセグウェイより便利そうです。

さて、色々なタイプの乗り物をご紹介してまいりましたが、

私が今一番、個人的に気になっているのはこちら、

先週撮影した写真をご覧下さい。

 

f:id:jpbd:20150715100312j:plain

 

(写真:車窓から捉えた最新改造三輪車 かわいい子供が居眠りしています)

※人物の顔には画像処理を施してあります。

 

これからの時代、やはり乗り物はエコでなければなりません。

こちらは完全人力のクリーン・エネルギーを利用した本体に、

幅広のフルフラットシートを装備したカブリオレでございます

(注:オプションをつけてもクーペにはできません)。

これだけの体積があれば自転車のような危険もなく、スピードも出ず安全です。

のんびりとペダルを漕ぐお父さんの運転で後ろのお子さんも初夏の

ドライブを満喫、微笑ましい1コマですが、問題は彼らが車道のど真ん中を

走っていたことであり、真後ろで左折待ちをしていた私、後続の車、

周囲の原付のすさまじいクラクション総攻撃も何処吹く風で、駅の方向に

走っていきました。ちなみに完全に逆走です。

警察ですか?警察は事故にならない限りどうせ無介入です。

来てもおそらく『子供が落ちたら危ないだろ!』と合ってるようでズレてる

指摘で終わると思います。

たのしい乗り物で溢れている上海、皆様くれぐれも安全にはご注意の上、

お気に入りの乗り物を探してみてください。

 

※日記の記事の内容はあくまでも筆者個人の体験であり、

 弊社の社としての見解を示すものではございません。

※著作権は筆者及び筆者の所属先に属するものであり、

 無断転載は固くお断りします。

バックナンバー “上海 勝手にレストラン・アワード!” 2015年5月号

“上海 勝手にレストラン・アワード!” 2015年5月号

 

このコーナーは、独断と偏見に基づき、お店の許可も一切取らず

社員が文字通り「勝手に」ステキなお店をご紹介する場です。

十回目、またしても風邪をぶり返し、全身薬漬けで絶不調のSがお届けします。

連載十回目にあたり、過去のレストラン・アワードの記事を読み返したところ、

あまりの食い意地の張りように我ながら驚くほど食べ物への執着で満ち溢れて

いましたが、これはひとえに私が食べることが好きにも関わらず胃腸が弱く

量を食べられないせいです。「ご飯がおいしい」「お腹が空く」

「食べたいものを食べられる」という普通の人にとっては当然のことに

ものすごくありがたみを感じ、好みの料理には “一期一会”の運命すら感じます。

食べる楽しみを失わないよう、体調や体質への配慮は必須であり、

本来この流れですと「そこで今月のお勧めは、胃腸にも財布にもやさしい

お粥です」などと消化のよさそうな料理が続かなければいけないのですが、

私はここであえて『回復したら貪り食いたい胸焼けするような高カロリーな

美味』をご紹介したいと思います。“病は気から”が科学的にも実証されつつ

ある現代、体に無理のない範囲で自分を鼓舞することは早期回復につながる

こと間違いなしです。上海は現在、間もなくワイタンにオープン予定の

“ジョエル・ロブション”の話題で持ちきりなのですが、世界中どの系列店で

食べても同じ味のするロブションの看板マッシュ・ポテトや鴨は確かに

おいしいものの、病み上がり直後は何故かジャンクフードに目が行きます。

消化に悪そうで栄養が偏っていてしかも太りそうなものが光り輝いて

見えるのはたいてい疲れ切った夜中や風邪の治りかけの時で、前者の場合は

ラーメン、後者の場合は甘いものやコーヒーなどの刺激物が特に当てはまり

ますが、今回ご紹介のこのお店のワッフルやトーストはいつ、どんな体調で

出かけても常に輝いて見えます。抗生物質より殺菌効果が高く、

ビタミンより免疫システムを向上させてくれそうなヘビー級スイーツを

提供するお店はこちらです。

 

Maan Cofee

住所:金汇南路265 (他、上海市内に多数店舗あり)

電話:02154222597

 

f:id:jpbd:20150701180356j:plain

 (古美路店の写真: ワッフル、トーストは分けて食べて丁度よい大きさです)

 

説明は不要です。ご覧くださいこの写真。

チーズワッフルにクリームたっぷりのトースト、たとえ高熱にうなされていても、

這ってでも出かけたいと思わせる魅力に溢れています。

このお店は上海市内でチェーン展開をしている韓国系のカフェですが、

巷にあふれるカフェと一線を画しているのがその店舗規模。地価の高騰が

止まらない上海のカフェは座席が狭く、テトリスのブロックのように座席に

嵌め込まれて座るようなお店も多いのですが、こちらはなんと数百㎡×複数フロア

という驚きの広さ。 内装も凝っており、のんびり落ち着いて過ごせます。

また、コーヒーの種類も充実しており、カフェイン中毒者には嬉しい限り。

まずは前菜に砂糖をまぶしたラスク(無料)、一品目はチーズonチーズで

おいしさも喜び(というよりはむしろカロリー)も二倍のワッフル、

続いては生クリームとキャラメスソースのトースト、そしてシメに

リキュールの如く濃い目のエスプレッソをきゅっと一杯、という風邪も

体調不良も一発で吹き飛ぶ、フレンチにも劣らぬ夢のようなコースが完成します。

「原材料がほとんど同じ!!」

「全部主食じゃないか!」

というツッコミは不要です。これらは主食ではありません。おやつです。

メニューにはサンドイッチやサラダなどの軽食やお茶類もあり、営業時間は

深夜2時までという夜行性人種の強い味方です。ちなみに今回、最後まで

珍しくアルコールの記載が一切ないのは健康へのささやかな配慮によるもの

ですが、「健康も大事だけど、タバコも止められない・・・」とお悩みの方も

ご心配は無用です。喫煙フロアも完備されていますので、皆様お誘いあわせの上

是非巨大なワッフルにチャレンジしてみてください。

 

※記事の内容はあくまでも推薦者個人の見解であり、

 弊社の社としての見解を示すものではございません。

※この記事はお店の情報をご紹介しているものであり、

 喫煙を推奨する意図はございません。

※記事の著作権は筆者及び筆者の所属先に属するものであり、

 無断転載は固くお断りします。

バックナンバー 中国最新情報 “ついに減税、中国の輸入品関税引き下げ!” 2015年5月号

中国最新情報 ”ついに減税、中国の輸入品関税引き下げ!” 2015年5月号

 

中国で反腐敗運動が始まって以来、中国の消費経済が減速した“

かのように”見えていることから一部国外では

「いよいよ中国の好景気も終焉」などという報道がなされているようですが、

現地で暮らす私が見る限り、このような報道には違和感しか感じません。

上海では先週まで数年ぶりの株のバブルが再発し、その後歴史的暴落を

記録したものの、不動産も高級車の販売も息を吹き返しました。

中国の人が買い物をしなくなったり出費を抑えたりしている様子は一切

感じられず、実際はむしろその逆であり、総合出費は間違いなく増加して

います。反腐がキーワードになってから「いかにこっそりお金を使うか」が

消費のポイントになっていることは過去にもご紹介しましたが、私が勝手に

“ステルス消費”と呼んでいる“こっそり消費”の最たるものが

海外における買い物です。買い物といっても買うのは化粧品だけではなく、

不動産やワイナリー、果てはグリーンカード(移民権)などまで買い物

リストに含まれます。HSBCの報告によると、現在世界の贅沢品の1/3は

中国人が購入しているそうで、しかもそのさらに2/3は海外での消費だそうです。

この中には当然、前述の大額の買い物も含まれて居ますが、統計の大部分を

支えているのは一般の旅行者や、また「代购(ダイゴウ)」と呼ばれる

個人輸入を通じて国内で海外の商品を購入している一般市民です。

地価や人件費の高騰で価格が高くなった国産品より安くて安全な輸入品へと

客足は取られるばかり、

『株の暴落を受け、上海のデパートも閑散としています』

などと報道するニュースを横目に地元の皆さんは

「誰がデパートで高い国産品なんか買うか」

「儲けたお金でヨーロッパに行こう!」と盛り上がっています。

国外の報道が「経済崩壊」と早とちりするのも無理はありません。

そこで今回、反腐運動で落ち込んだ中国国内の消費を取り戻すべく、

中国政府によるある法律が施行されることになりました。

今月ははこの法律についてご紹介したいと思います。

 

  • ついに減税に踏み切った中国!何がどう変わるのか?

 

4月28日に開催された国務院常務会議において、国内の消費者の選択肢を

より豊富にするため、政府は消費者品の輸出入税政策の改善を提出した。

(中略)具体的方案には下記いくつかの点が含まれる。

 

  • 国内消費者の膨大な海外日用品の需要に対し、今年の6月から試験的に輸入税を減税、段階的に減税商品の範囲を拡大していく。
  • 衣類、化粧品などの消費者品の税策、徴税範囲、税率やそのフローを改革する。
  • 入国免税店を増設・復活させ、免税品の種類を拡大し、免税購入額を引き上げる。
  • 海外旅行客の通関と税金の払い戻しを簡略化。輸入品の非合理的な徴収費を一掃する。
  • 中国国産ブランドの向上。実店舗の発展の支持し、オン・オフラインの相互交流を実現。ニセモノを厳罰化し、市場に秩序をもたらす。

http://news.xinhuanet.com/fortune/2015-05/04/c_127760514.htm

(2015年5月4日 新華網)

※上記内容は記事を元に内容の要点だけを簡略化し、翻訳。

 

ちょっと長いので大分端折りましたが、これだけの具体案が出ている

ことから政府の本気度が伺えます。国外にお住まいの方にはなかなか

想像が付かないと思いますが、中国の輸入品の高額さというのは我々

外国人の日々の生活を直撃する、信じられないほどの高さです。

食品を例にしますと、チーズやパスタ、調味料などの輸入品の価格に

ついては『日本の成城○井や明●屋などで輸入食品を買う値段×1.2~1.5倍』

をご想像いただければ概ね正解です。本国で2ユーロ前後のチーズが

1個1,500円などというのはザラであり、『この価格差は何だ!』と

海外旅行が一般化した現在、国内が怨嗟の声に包まれています。

関税が高いことが一番の原因ではあるのですが、食品や化粧品に限らず

中国の問題は上記一覧の4、「非合理的な徴収費」が一番のボトルネックです。

商品の輸入後、一般消費者の手に渡る店頭に並ぶまで国内で輸入代理店や

販売代理店が層を成し、マージンがどんどん乗せられていき、最後に

恐ろしく高い店舗の賃料を上乗せした結果が、牛乳1パック1,000円など

というふざけた値段です。

 

あるブランドの中国国内における責任者は、一刻も早く効率的で低コストな

販売ルートを構築することが輸入商品の国内販売価格の定価につながり、

『欧米の販売員の給与は中国よりはるかに高い。しかし中国の流通ルートは

一層ごとに費用が加算され、販売費、コミッション、キックバック等の

業界の明確な規則、そして不文律が経営コストを上げている』とコメント。

(上述の同記事より抜粋)

 

今回の法律の発表を受けて、中国各地では試験的に保税区や一部の地域などで

すでに大分減税の恩恵を受けた価格の商品が販売されているようです。

但し、実店舗にはやはり限界があります。上海では昨年、本ニュースレター

でもご紹介の「自由貿易区」ができた段階ですでに同じコンセプトの

免税日用品店が出来ていましたが、TVの取材でも実際に足を運んだ人の

感想を聞いても答えは一緒で「品物が売り切れてて、何も買えなかった」と

怒り心頭でした。冷凍のカニやサーモンをはるばる遠くから車で乗り付けた

上海の顧客が店内で奪い合う様子が特集で放送されていたとおり、実店舗は

在庫の数もさばききれる顧客数もどうしても制限がかかります。

そこで自然、視線はオンラインに向くのですが、中国ではタオバオに

代表されるように法律が変わる以前からとっくに免税価格以下のC to C

販売が隆盛を極めています。新法によってこれらオンラインの

プラットフォームは打撃を受けるのでしょうか?

 

  • オンラインの販売店は打撃を受けるか?

 

タオバオの販売は私自身、特に化粧品の購入などでよく利用します。

欧米本国でしか発売されない限定品が、人民元決済で即刻手に入るからです。

売り手はそのほとんどが留学生や移民で海外に移った人などで、お小遣い

稼ぎに片手間に販売している人もいればプロのバイヤーとしてタオバオ

一本で食べており、現地のデパートでVIP待遇を受けながら

そのシーズンの新作を山のように購入し、在庫を抱えて転売している人もいます。

価格は若干の手数料を取られるものの、免税店よりはるかに安く、

セールシーズンになると本国の定価とほぼ同じ価格で出回ります。

飛行機で買いに行くよりずっとお買い得です。

食品、衣類、薬品まで何でも揃うネットはタオバオに限ったことではなく、

他にも色々なEコマースがそれぞれに特価した分野で手広く業務を展開して

おり、また中国都市部では若年層だけでなくお年寄りにも驚くほどの割合で

PCやタブレットが普及していますので、すでに年代を問わず買い物=ネット

という意識が根付いています。今回、国内の実店舗における輸入品の販売額が

下がったことでこれらネットショッピングが打撃を受けることが懸念されて

いましたが、この影響もプロのバイヤーと学生や会社員で薄利多売を

主としている“副業”バイヤーとではその度合いが大きく異なります。

 

タオバオでイタリアの「代购」を5年間続けている樊(ファン)氏は、

今年の6月末から始まる減税については『無視しても差し支えない』と

率直に答えた。樊氏は国内の輸入商品が高額なのは関税以外に人件費、

物流費、店舗リース料などが原因であると考えており、国内の販売店の

多くの化粧品の価格は海外の2-3倍である。また、長期的に提携している

海外ブランドは定価から更なる割引きを受けられるので、「代购」は価格的に

優位であるとコメントした。しかし、彼女には別の心配もあり、

「減税は自分達の仕入れ価格には影響しないものの、正規の輸入手続き

を踏む大手がより安い価格を(ブランドから)オファーされることになる

ので、市場の競争は厳しくなるだろう」と予測している。

http://www.xfrb.com.cn/xfrbdzb/news/2015/05/11/14313105913250.htm

(2015年5月11日 消費日報網)

 

上述の記事にはもう一人、副業で「代购」をしていた学生のインタビューも

掲載されていましたが、こちらはすでに打撃を受けており、両者の話を

まとめるとポイントは

  • 実店舗を構えて販売しているデパートや店はもはや敵ではない。必ず勝てる。
  • 問題は“ボリュームディスカウント”の幅であり、ネットへの大手の参入は脅威である。

という2点に集約されます。本特集の前半でご紹介の通り、

中国政府としてはどうしても地価水準の維持や雇用の確保の観点から

「実店舗」をサポートしたいようなのですが、現在の中国の地価や

給与水準ではコストの面でネットに太刀打ちすることはまず無理です。

大手のネットへの参入についてはもう、消費者の嗜好の問題です。

ニセモノを売るような悪質なCtoCが淘汰されるのはともかく、特に

化粧品や衣類については何もわからない新人の店員に中途半端に勧められる

より、自分自身も服や化粧品が好きな店主とあれこれ相談しながら決めて

購入するほうが満足度は高く、これはネットでも実店舗と全くかわりません。

贅沢品や輸入品が実店舗で売れないのは、ブランド店で何も分からぬ店員に

『これは○○製です』『輸入品です』『シルクです』『シーズン最新作です』

しか言わせずやる気のない接客をさせていたことも無関係ではないと思います。

結局は「他店との差別化」「サービスの向上」という何の代わり映えもない

結論に落ち着きますが、いよいよ中国の市場が“とにかく0.1元まで値段勝負”

一辺倒の時代から脱却し、“価格もサービスも重視”という層が現れたことを

考えると、すでに入り込む隙はないように見えるオンラインショッピングにも

ビジネスチャンスを見出すことができるのではないでしょうか。

但し、ここで、勘違いして「おもてなしの心!電話対応を強化!」

「いいものなら高くても確実に売れる!」などと自己解釈してお門違いな事を

始めても何の効果もありませんので、そのあたりは中国現地の消費者の心理を

よく研究した上で、もっと実利的な付加価値をつけていくことが

必要になるのではないかと思います。

 

※特集記事の内容はあくまでも筆者個人の私見であり、

 弊社の社としての見解を示すものではございません。

※記事の著作権は筆者及び筆者の所属先に属するものであり、

 無断転載は固くお断りします。

バックナンバー 社員の日記 2015年5月号

◇◇◇()新入社員の日記 2015年5月号(前編)◇◇◇ 

 

正式に入梅した上海でうんざりするSでございます。

今までに何度もお伝えしている通り、上海は非常に湿度が高いので、

座っているだけでもじめじめして気分が滅入りますが、さらにこの時期から

私の大敵となる“奴ら”も出現し始めます。

プライバシーや営業時間の概念を一切無視し、ゲリラ戦の繰り返しで相手の

戦意を極限まで削いだところで一気に攻撃に転じる高度な戦術を駆使する

“奴ら”とは、他でもない蚊のことです。上海の蚊は東京の蚊と比べ動きが

やたらと機敏で、「一晩で8箇所刺す」「指の関節、足の裏、爪の間も指す」

「果てはまぶたまで刺す」と反則行為も辞さない攻撃型、虫除けの類も

多種販売されてはいるもののたいした効き目はなく、結局見つけ次第

容赦なく叩きつぶすのが最良の対策です。明け方、力尽きて壁に止まって

いるところをスリッパで叩き潰すときなどは

「待て!無抵抗の相手を攻撃するのか」

『芽はすべて摘んでおくべきだ。刺されてからでは遅い!』

と内心で政敵の一族を次々に葬っていく悪宰相の役を演じると心なしか

ヒット率が上がる気がします。当地では網に高圧電流を流すテニスの

ラケット状の虫取り器なども販売されているのですが痒みと怒りで

我を忘れた状態であんなものを室内で振り回すのは危ないので、

今年も購入の予定はありません。長袖パジャマで装備しつつ、

今月も最新のニュースをお届けします!

 

■6月某日 寧波出張 鉄道の旅

 

皆様端午節の休暇はいかがお過ごしでしたでしょうか。

粽(ちまき)は召し上がりましたか?

私はまたしても風邪で高熱を出し、3日間臥せっておりました。

今年は清明節、児童節、端午節と3連休をすべて病床で過ごし、

「人の連休をコンプリートしてさぞかし楽いだろうな!」

と菌に悪態をついていた矢先、この先国慶節(10月)まで連休がない

ことに気づき愕然としました。あまりのくやしさに涙も出ない私とは反対に

上海は梅雨の集中豪雨に見舞われていますが、今回はキノコの培地状に

湿った上海を脱し寧波に日帰り出張に行ってまいりました。

移動は毎度おなじみ高速鉄道の利用です。

上海―寧波間は杭州を経由し丁度2時間ほどの距離です。中国にいると

あまりの広さにだんだん地理的感覚が麻痺してくるので、移動2時間、

飛行機ではなく鉄道、しかもお隣の浙江省と聞くと

「ちょっとそのへんの街へ」という錯覚におちいりますが、実際は

東京-大阪間の新幹線(のぞみ)移動とほぼ同じ時間を過ごしていることを

考えると、改めて中国の広さを実感します。上海西部の虹橋駅を離れると

間もなく車窓から見える景色も一転し、街と街との間は見渡す限り鷺が

舞い降りる水田やアヒルの群れが行きかう水路などが目立つのどかな

風景が広がります。山の斜面に伝統的な形式の墓地が並んでいたり、

見るからに歴史がありそうな石造りの小さな塔が立っていたりと名もなき歴史

建造物も多々見えますが、中国にいるとあまりの歴史の長さに時間感覚も

同様に麻痺してくるので、しばらく眺めているうちに農具を置く小屋など

まで数百年を経た遺跡に見えてきます。高速で通り過ぎるトタン造りの

アヒル小屋を横目に「あれはもしや、唐の時代、はるばる長安に献上されて

いた朝廷御用達アヒルの末裔・・・!」などと適当なことを考えている

うちに今度は車内販売が始まります。

『お弁当、アイスクリーム、コーヒーはいかがですか』

と声がかかりますが、残念ながら鉄道の車内販売のお弁当をおいしいと

思ったことは過去一度もないので、今回はサンドイッチを持参。

もそもそと食事をしつつメールなどを確認していると、続いて係員が

チケットの確認に来ます。中国では過去、キセル乗車やダフ屋(旧正月等の

混雑シーズンにチケットを買占め高値で転売する)が横行しており、

その取締りのため近年より『実名登録制度』が実施され、切符に身分証明書

番号と本名が表示されるようになりました。チケット確認の係員は

日本のように鉄道会社の社員ではなく公安の警官であり、キセルや

スリなどの問題が発覚すると即座に犯人を連行します。そのため

『係員がチケットの確認にうかがいます。違反者は法に基づき処罰

 されますので、皆様ご協力ください』

というアナウンスが流れると妙に緊張し、姿勢を正して椅子に

座りなおしたりするのですが、そのような時に限って自分の乗っている

車両には来ず、半分居眠りしているような時にばかり来るのは何故なので

しょうか。起きた瞬間警官が目に飛び込んでくるのは心臓に悪いので

やめていただきたいです。

さて、このように近距離の鉄道の旅はぼんやりしている時間がないほど

乗車中もせわしなく色々なイベントが発生しますが、列車の旅を100%

満喫するにはまだまだ不十分です。旅の醍醐味は他にもまだあります。

一体何なのでしょうか。

詳細は後半、ニュースレターの最後へ!

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◇◇◇()新入社員の日記 2015年5月号(後編)◇◇◇ 

 

寧波は古来海運の要所として栄えた街であり、かの鑑真が日本へ出航する前に

滞在していた古刹などの観光地も多く、何よりおいしい海鮮が有名です。

甘口の上海料理とはまた趣向が違う塩辛い味付けの新鮮な海の幸は

日本人の味覚にもぴったりです。私が過去、最後に寧波を訪れたのは

7年前になり、昼食でおいしい海鮮と共に浴びるほどビールと紹興酒を飲んだ

過去の勤務先の上司が観光地でトイレを探しまわり、その上陸路をバスで移動

したため私の寧波に関する思い出は「海鮮・渋滞・微妙な上司」という

なんとも複雑なものだったのですが、当時すでに市の中心部には映画館を

備えたデパートや欧米のファストファッションが出店しており、

浙江省=富裕層密集地帯のイメージそのものの豊かな街でした。

2015年現在の寧波は地下鉄も開通し、発展の度合いも段違い、巨大複合

商業施設を車で通りすぎた際は思わず窓から身を乗り出してしまいました。

ちなみにどのくらい巨大かは『街中に突然、新宿伊勢丹が4-5棟現れ、

中が全部デパートとオフィスと飲食店』と書くとイメージいただけるかと

思います。さて、今回は半日の旅程でしたため予定終了後はそのまま

寧波駅へと戻りましたが、列車の旅は乗車する前から見所満載です。

一体何を見るのでしょうか。

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鉄道利用の出張で一番頭を悩ませるのは「時間調整」です。中国の鉄道は

ありがたいことにほぼ時間通りにダイヤが運行され、発車時刻になると

音もなく列車が滑り出します。ベルやアナウンスの過保護な日本式サービスに

慣れ切っていると乗り過ごしてしまいますが、発車直前までホームが決まらない

欧州の鉄道のような不便さはなく、ホームはチケット購入の段階で記載されて

います。問題はホームのゲートが開くのは発車15分前からのみ、3分前には

クローズされる(大型駅の場合、地方にもよる)ので、必ず時間前に駅に

到着している必要があり、ここで空き時間が発生します。飛行機と違い、

列車は移動中にメールチェックなど十分な時間が取れるので、駅では私は

いつも構内の本屋をくまなく回ります。駅の本屋と空港の本屋は、何故か

示し合わせたようにどこもほぼ同じものを売っているからです。

雑誌の最新号や子供向けの絵本の他、必ず置いてあるのは

「金もうけ関係」「心理学関係」「儒教・歴史関係」の3種類で、

具体例を挙げますと『ユダヤの富豪の教え』『温州人は何故金持ちか』

『FBIの尋問テクニック』『三国志に学ぶ職場の人材管理』など、名前は

どれも似たような本が並んでいます。

 

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(写真:寧波駅。本屋が2~3軒、その他飲食店などが入っています)

 

駅や空港で本を買う客層はほぼビジネス客に限られるので仕方がないの

かもしれません。読書が趣味である私は過去、ある都市の空港でタイトルに

釣られ『温州人は何故金持ちか』を購入し、各地で高額不動産を根こそぎ

買っていくことで有名な温州の方々のメンタリティについては一定の理解が

深まりましたが、それと同時にビジネス感覚に長けた方々には

「他人の成功例など気にかけず自分の目標に注力する」

「無駄な金は使わない」という共通項に気づき、温州の富豪は間違っても

こんな本は買わないであろうと飛行機の中で激しく後悔した思い出があります。

また、『三国志や西遊記に学ぶ人材管理云々』もこちらのビジネス書の定番で、

自社の社員や部下の性格を登場人物に当てはめて特性ごとに管理する方法が

紹介されていますが、極端な例ながら実際はわりとよくありがちな

「職場の全員が悟空・曹操タイプ(=実力はあるがとにかく暴れまわる)

 だった場合どうするのか?」

といったかゆいところに手が届く解は書かれていません。

今回、寧波の駅の本屋にも欲しい本はないであろう事を見越して私は

上海から本を持ってきていたのですが、物語が佳境に入ったところでふと、

急に肩を叩かれ、顔を上げるとチケットの確認の警官と目が合い、

またしても心臓に悪い思いをしました。皆様中国で列車移動をされる際は、

いつでも途中で止められる短編集などを持参されることを強くお勧めします。

 

※日記の記事の内容はあくまでも筆者個人の体験であり、

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 無断転載は固くお断りします。

バックナンバー “上海 勝手にレストラン・バー・アワード!” 2015年4月号

“上海 勝手にレストラン・バー アワード!” 2015年4月号

 

このコーナーは、独断と偏見に基づき、お店の許可も一切取らず

社員が文字通り「勝手に」ステキなお店をご紹介する場です。

九回目、人生の数少ない輝く思い出のほとんどが食べ物絡みのSがお届けします。

「幸福とは何ぞや」というテーマは哲学の発祥の段階から再三議論されている

難しいテーマであり、時代と社会の影響や個人の価値観によりその定義は

千差万別ですが、ささやかでシンプルな幸せを身辺に見出し、素直に楽しい

気分を満喫することで免疫力も強化され、どこぞの不摂生な会社員のように

延々と風邪を引くこともなくなるのではないでしょうか。

はい、注記するまでもなく私のことです。

心身ともに疲れ切っている時は好物を食べに行くに限ります。食事は楽しく

摂るべきですので、そもそもそんな言い訳ばかりで外食が続いていること

こそ不摂生の根本的原因なんじゃないかというツッコミはひとまず棚上げ

しておきます。さて、私が勝手に“世界の三宝”と呼んでいる酒・つまみ・

甘いものという幸福の3要素が揃ったお店は上海にも多々ありますが、

今回ご紹介するこのお店はフランス・ブルターニュ地方のそば粉の

クレープの専門店です。数年前の開店当時は桃江路の本店しか店舗がなく、

予約が取りにくかったので足が遠のいていましたが、静安寺のデパートに

支店が出来てからアクセスも予約の利便性も格段に向上。

フランス人オーナーが経営するこのお店では、様々なバリエーションの

具を乗せることで主食にもデザートにもなるかの地で“ガレット”と呼ばれる

クレープを常時数十種類提供しています。

 

La Creperie

住所:南京西路1601号芮欧百货1D (本店は桃江路)

電話:02132537978

 

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(写真: 弊社男性社員が瞬く間に2枚平らげた巨大クレープ 

     この世の幸せが詰まっています)

 

このお店はオイスター(生牡蠣)も新鮮です。

おなじみ“フィン・ド・クレア”や私の大好物である“クマモト”なども

取り揃えてあり、口に入れた瞬間、脳内にフル・オーケストラを従えた

Carmen Cavallaroが弾く軽快なショパンのポロネーズが響き渡るような幸福感。

至福のひとときです。曜日限定で提供されるムール貝のワイン蒸しには

カリカリに揚げたフライドポテトが付いてきてこちらもお酒が進みます。

お酒はフランス語でシードル、英語でサイダーと呼ばれるリンゴの発泡酒の

セレクションが光り、ボトルをシェアするつもりが毎回一人一瓶の配分に

なります。そして何と言っても真骨頂はデザートの甘いクレープです。

チョコレートソースや塩キャラメル、アイスクリームやフルーツを

組み合わせ、座席でフランベしてくれる“火焔シリーズ”などは当地の

ブロガーにも大人気です。私は数ヶ月に一回クレープを食べずに

いられない禁断症状を抱えており、一度発作が出るとデスクに伏して

「クレープ食べたい」「クレープ・・・」「うあああ」

と延々呟き続ける重症患者ですので、注文が席に届いた段階で完全に

思考力を喪失。ナイフとフォークを握り締め、頭の中にはPharrell Williamsの

ヒット曲がエンドレスで流れます。

♪Clap along if you know what happiness is to you 

 手を叩こう 幸せが何か分かったなら♪

私にとっての幸せとは何か。少なくとも今この瞬間、それは目の前の

クレープに他なりません。幸福の青い鳥が案外近所に居たパターンには

人生で時折遭遇しますが、“運命の人が実は自分の幼馴染だった”などという

ドラマ的展開が仮にあったとしても相手と結ばれるかどうかは運と努力次第です。

幸福そのものが駅直結のデパートに存在しているお手軽さにはかないません。

何しろ数十元出せば必ず手に入るのです。

貴重です。クレープは私を裏切らない。

しかし手を叩いて踊っているヒマなどありません。

とにかく食べるのに忙しいからです。

♪Clap along if you feel like that’s what you wanna do 

 手を叩こう そうしたいと思ったなら♪

繰り返しますが手はこの際どうでもいい。ただひたすら食べるのみです。

同席の会社の同僚男性二人もダ○ソンの掃除機のように食器を空にしており、

そのうちの1人は完食後すかさず追加オーダー。完全に別世界にトリップして

いた我々3人がいかに異常だったかというと、店内で私たちだけが喜色満面の

フランス人店員から食後のコーヒーの無料オファーを受けたほどです。

ちなみに結局どれだけ食べたのかは「もう・・・お腹が一杯で・・・」と

涙をのんでコーヒーを断った返答からお察し下さい。

世界はあらゆる種のストレスで満ち溢れていますが、気の合う仲間や家族と

楽しむおいしい食事は間違いなく人生最高の幸福の一つです。

♪Clap along if you feel like happiness is the truth 

 手を叩こう 幸せこそが真実だと思うなら♪

但し『幸福と共に得た“摂取カロリー”については完全に自己責任になります』

という一文をわざわざ購入したヨガマットがそろそろ部屋のオブジェと

化しつつある私から追記しておきます。

 

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    日本語は文字数制限に合わせ削った筆者の意訳です。

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